二一世紀は人権の世紀といわれているが、今日にあってもなお差別事象は散見されており、人間解放への道程はいまだ荊の途上にある。
しかし、「地対財特法」が期限切れとなり解放運動は転換期を迎えた。本稿では、「これからの新たな解放運動をどこに求め、どのように展開していくのか」といった問題関心に対して、京都市内で実践し始めたまちづくり事例を取り扱いながら、地方自治制度の視点から地方分権と地域住民主体のまちづくりとの関係を中心に考察し、被差別部落を起点にした新たなまちづくり機構を構築するうえで必要な条件について若干のアプローチを試みている。