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部落解放研究 151号掲載
論文

サービス・ラーニングとその可能性

若槻  健

 本論文では、米国において注目を浴びているサービス・ラーニングについて紹介するとともに、それが従来の学校教育を問い直し、学習を「意味ある」ものへとしていく可能性を秘めていることを示す。

 サービス・ラーニングとはボランティア活動などのコミュニティ・サービスと関連した体験を通じた学習であり、そこでは学習者であることと能動的なコミュニティの一員であることが同時に成立している。単なる読み書きの学習であっても、子どもたちに絵本を読み聞かせるという具体的な活動のために行われる。

 学習の意味が現実の社会と結びつき、明確な価値を持って立ちあらわれるのである。子どもたちはともに働く仲間、支援する教師や保護者、サービスを受ける人たちと相互に交渉しながら共同の知識を積み上げていく。それはコミュニティからの具体的な要請に対する子どもたちの返答である。

 サービス・ラーニングにおいて、子どもたちはコミュニティをつくっていく責任ある一員として学習することになるのだ。