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部落解放研究 153号掲載
特集

近江の太鼓づくり
―張替と製作をめぐって―

古川 与志継

 小稿は、太鼓の胴内に記された製作と張替時の墨書銘を中心にしながら、近世近江の太鼓づくりについて明らかにしようとするものであり、断片的な資料とはいえ集積することによって、太鼓職人の歴史を読み解いていくことができると考えている。

  近江で確認できた一七世紀から一八世紀はじめに製作の太鼓は、京都天部村で製作された太鼓であった。近江の野洲郡から蒲生郡地域では、天部の技術的影響のもとに、張替と製作が始まり、蒲生郡の林村は近江の太鼓づくりの中心となった。

  滋賀郡でも太鼓づくりが始まり広がったが、愛知郡以北の地域では系譜の異なる太鼓づくりがはじまり広がったことを示している。また、湖東に特徴的な大太鼓の製作と張替の一端を示すととともに、大太鼓の胴が北陸から供給されていることなどを示した。太鼓から歴史を読み解くことを提唱している。