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部落解放研究 153号掲載
執筆者一覧

斎藤 洋一(さいとう・よういち)(財)信州農村開発史研究所所員

古川与志継(ふるかわ・よしつぐ)野洲町立歴史民俗資料館参事

岡田あさ子(おかだ・あさこ)総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程後期

岩崎 泰司(いわさき・やすし)大東市立北条中学校教諭

李 嘉 永(リ・カヨン)部落解放・人権研究所職員

朝治  武(あさじ・たけし)大阪人権博物館


編集後記

 八月の歴史特集は、部落の生業について2年にわたり追究していく予定である。その1年目となる今号では前近代の部落に焦点を絞り、実質的には近世部落における生業に関する特集となった。

 巻頭の斎藤論文は、これまで滋賀県に関する研究を除けば個別的、断片的にしか明らかにされていない近世の被差別民と医薬業に関する全国的な知見を、先行研究を総覧するかたちで整理し、被差別民が医薬業に従事してきた理由についても、「生」「病」「死」といった人知を越えた領域と被差別民との関わりという観点から考察している。

  古川論文は、近江の太鼓づくりに関し、近世の文書のほか、現存する太鼓の胴内に残された太鼓の製作・張替に関する墨書銘と胴内の削り跡から、湖東・湖西を中心とする系統と、愛知郡以北から湖北への広がりの可能性をもつ系統とに整理している。

  岡田論文は、近世関東の長吏の生業に関し、斃牛馬取得権の偏在や勧進の形骸化、貨幣経済の浸透といった変化につれ、砥石・破魔矢・草履等の特権品の市商いが重要度を増していくことを明らかにしている。

 今号は、部落史関係文献目録を復活させ、特集以外は、大阪府大東市の部落を含む地域での地域教育コミュニティづくりに関する岩崎論文、米トヨタの多様化推進に関する李レポートで構成した。

 なお152号の英文目次中、野上さんの「国連人権小委員会第54会期報告」に関して、「Commission」(委員会)とあるのは「Sub-Commission」(小委員会)の誤りであった。お詫びするとともに訂正させていただきたい。(K)