本稿は、二〇〇〇年調査の「被差別体験調査」から得られた聞き取りデータを、相互作用論的に再解釈する試みである。
被差別部落出身者との結婚に「反対する」部落外出身者の親と、かれらを「説得する」カップルは、どのような相互作用過程を通じて結婚の合意に至るのだろうか。分析から、「反対する」親側の抱く部落イメージがさほど変容しないまま、結婚を容認する状況が生じていることを明らかにする。
そして、「反対する」親が部落に対してマイナスイメージを保持しつづける限り、結婚後の日常生活において差別事象が生じる可能性は残されており、結婚後の家族・親族関係が不安定な状態にさらされていることを明らかにする。