編集後記
本号は、今夏の国連人権小委員会での議論の進展を交え、部落差別・ダリット差別をはじめとした世系に基づく差別に対する国際的な認識の深化を特集した。
友永巻頭論文は、部落差別が国連と国際人権の俎上に上るまでの歴史を跡づけつつ最新の論点を紹介し、部落差別に関する日本の課題について整理する。ソーンベリー論文では、人種差別撤廃条約における「人種」「世系」「カースト」概念を整理しつつ、人種差別撤廃委員会が昨年採択した一般的勧告29の意義と委員会の取り組みについて述べる。また、今国連人権小委員会に提出された職業と世系に基づく差別に関するアイデ・横田拡大作業文書等を、資料として収録した。
個別論文として、「公共性」「共同善」を理念に進められてきたシカゴの教育改革に関する池田論文(前編)、障害者権利条約作成をめぐる論点に関する川島論文、野宿者の生育家族に見る社会的不平等再生産に関する妻木論文を収録した。
なお154号で、香川論文中の29頁下段最終行「1966年」は、「1996年」の誤りであり、また92頁の執筆者一覧で大橋保明さんの肩書きを「大阪大学大学院人間文化研究科博士後期課程」と紹介させていただいたのは、「…人間科学研究科…」の誤りであった。お詫びして訂正させていただきたい。(K)
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