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2004.04.23
書籍・ビデオ案内
 
編集後記

 一昨年三月末の「地対財特法」の失効=同和行政の終了とみなす曲解が一部ではかなり流布し、同和行政のみならず人権行政に対する風当たりが強まる傾向も見られる。本特集は、このような転換期の同和行政について、人権行政との関係を整理しつつ、法律と部落差別の実態の両側面から整理することを意図した。

 ûü野論文は、戦後同和行政の振り返りから人権のまちづくりに見られる今日的同和行政の展開まで、法制的に概観する。菱山論文は、近年の住民意識調査を通じて住民の部落問題認識が後退している現実を明らかにする。奥田論文は、部落差別に関する実態把握の前提となる実態調査のあり方を具体的に提案する。

 他に、一九二〇年代の一地方紙の水平運動・融和運動認識を分析した高木論文、昨年の先住民作業部会・国連人権小委員会についての友永報告、日本ではまだ知られていない「都市における人権保障のためのヨーロッパ憲章」の紹介、大阪府茨木市の一小学校区における教育コミュニティづくりを地域の避難訓練活動から描いた大橋レポートを収録した。

 なお、一五六号・九五頁の執筆者一覧で、中井伊都子さんを「甲南大学法学部助教授」と紹介させていただいたのは、「教授」の誤りであった。お詫びするとともに訂正させていただきたい。(K)

執筆者一覧
ûü野 眞澄 (たかの・ますみ)高松大学経営学部教授

菱山 謙二 (ひしやま・けんじ)筑波大学社会科学系教授

奥田  均 (おくだ・ひとし)近畿大学人権問題研究所教授

高木 伸夫 (たかぎ・のぶお)神戸史学会委員

友永 雄吾 (ともなが・ゆうご)桃山学院大学大学院文学研究科博士前期課程

ハンス・ヘ ッセルマン ドイツ・ニュルンベルク市人権室室長

大橋 保明 (おおはし・やすあき)大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程

藤田 武志 (ふじた・たけし)上越教育大学学校教育学部助教授

白木 正俊 (しらき・まさとし)京都市市政史編さん助手