本論文は、カーストに基づく経済的排除と、その排除による低位カースト不可触民(指定カースト、SCあるいはダリット)の貧困の結果について、理解を発展させ、排除・差別に対するインド政府の戦略と、エンパワーメントのための政策を論じる。
第一に、理論的解釈から入り、排除や差別を伴うカースト制度の支配原理を論じ、排除・差別の概念についての洞察を展開する。
第二に、SCの現在の経済的社会的状態を経験的に説明することで、彼らの経済的収奪に排除と差別がどう影響しているかを論じる。第三に、差別と排除に反対し、経済的社会的エンパワーメントを行うインド政府の政策と戦略を論じる。
最後に、これら洞察に照らし、DFIDが、インドにおける社会的排除と貧困の減少に効果的に取り組みだせるよう提言する。(*訳註:DFID=Department for International Development〔国際開発省〕。各地に事務所を置き、貧困撲滅を目的に諸国を援助するイギリス政府の省。インドはその主要対象国。)
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