今国際人権特集は昨年度に続き、日本やインド以外にも世界的に見られることが次第に明るみに出てきた「職業と世系に基づく差別」の歴史と現状の描写を通じて、各国における差別の類似性と差異を明らかにしようと試みるものである。
友永解題で各論文の背景が説明される特集は、社会主義革命以前の中国におけるロロ族(彝族)社会におけるカースト制度、および革命後も生き残りつづけるカースト思想について論じる潘論文、一五五号に資料として収録したアイデ・横田による国連拡大作業文書でも取り上げられたセネガル社会におけるカーストについて、その起源、日常生活・婚姻などに見られる差別のありようを描くムボウ論文、インドのカースト概念を分析し、ダリット差別の実態と変化を、職業と雇用、貧困、教育や健康、暴力と排除等に関する種々のデータから裏づけるとともに、種々のエンパワメント政策について評価するソラット論文から成る。
個別論文は、学校と地域の協働促進を目的として、大阪府内各校区で組織された「地域教育協議会(すこやかネット)」の活動とその成果を測定した二〇〇二年度調査の結果を分析する柏木・高田論文の前半を掲載した。
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