編集後記
地方分権の推進や人権行政への移行等、一九六五年の「同対審」答申以来、同和行政は最大の変化のなかにある。部落差別の捉え方と戦後の同和行政の基本方策を明らかにした「同対審」答申を部落差別の今日的実態から読み直し、行財政改革の方向を見極めることによって、部落差別撤廃と人権行政の今後を展望することが、今号の問題意識であった。
まず巻頭の友永論文は、部落差別の撤廃に今日なお意味をもつ「同対審」答申の内容について、詳細に検討する。中川論文は、独自調査の結果から、全国の自治体における人権・同和行政のシステムの現状を明らかにする。澤井論文は、分権化を先取りして、三位一体改革を人権のまちづくりに活かす具体策を示す。
個別論文として、全国水平社創立に影響を与えた真宗僧侶・三浦参玄洞の思想に関する浅尾論文、経済的競争力と就業率拡大・仕事の質的向上を、ともに追求するEUの新たな雇用戦略に関する福原論文、地域への貢献活動を通じて市民性教育をめざす米国のサービス・ラーニングに関する若槻論文を収録した。
前号表紙中の中村・李論文のタイトル「人権におけるCRS調査の試みと課題」は「人権におけるCSR」の誤りである。訂正してお詫び申し上げたい。(K)
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