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2005.07.12
書籍・ビデオ案内
 
ハンセン病問題と部落問題の接点

   ─「特殊部落調附癩村調」の意味するもの─

藤野  豊

 一九一六年にハンセン病療養所の全生病院が「特殊部落調附癩村調」を北海道庁と各府県に対しておこなった。

 なぜか。その背景にはハンセン病に罹りやすい体質があり、それが遺伝するという認識があった。前年には全生病院で男性患者に断種を開始しているが、その理由のひとつにも体質遺伝論があった。

 当時、被差別部落は「血族結婚」でハンセン病患者が多いという偏見があり、絶対隔離を進めるためにこのような調査をおこなったと考えられる。このように部落差別とハンセン病患者への差別との間には不可分な関係がある。