社会的に注目を集める就職しない・できない若者の増加は、社会的に不利な条件を抱えた被差別・低所得層において顕著である。これらの層における職業への移行が教育における大きな課題であり、人権教育を基礎としたキャリア教育をどう構築するかを今号のテーマとした。
特集は、同和教育の進路保障の取り組みに学びつつ、新たな課題を組み込んだキャリア教育を提案する巻頭の桂論文、それを受けた小・中・高の各段階での具体的なキャリア教育の展開について、小中は、同じ校区で一一年間の共通カリキュラムのもとで総合学習として展開する松原三中校区、高は、普通科で唯一の日本版デュアルシステムの研究指定校となった布施北高校の実践報告からなる。
個別論文では、近代日本においてハンセン病対策として実施された被差別部落調査を手がかりに、両者に対する差別のあり方を明らかにする藤野論文、福岡藩と大坂を結んだ近世の海上廻送ルートから、皮革取引のありようを描く上田論文を収録した。(K)
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