『古事記』国生み段は、イザナキとイザナミの大八州国国生みに先立って、水蛭子と淡島の誕生と遺棄を語る。これは、大八州国が神々の祝福を受けて生まれた美しい国であり、婚姻の法を破る罪によって障害を持って生まれたものをあらかじめ排除していることを説いたものである。
この段の直前に位置する神世七代段の解釈には、男女神の形成過程描写説と、土地・住居・性を語る村落形成過程説とと二系統の解釈がある。後者がおおむね妥当である。
ただ、単なる村落形成過程の描写ではなく、歌垣の背景描写を行うことにより、二神の交合が兄妹婚の禁忌を犯したものではなく、大八州国を生む二度目の交合の完璧性を保証する役割を担っていると考える必要がある。
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