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2005.09.15
書籍・ビデオ案内
 
元禄期における天王寺「非人」集団の諸側面
─悲田院中間宗旨改帳と類族生死改帳を手がかりとして─

寺木 伸明

 大坂四ヶ所垣外のうち天王寺垣外(悲田院とも称された)の「非人」集団について、元禄一一年『天王寺領内悲田院中間宗旨御改帳』を分析したところ、第一に、出生地が近畿を中心に東は陸奥国、西は肥後国に至るまで三三ヵ国に及んでいたこと、また一八九軒のうち四二軒の戸主が悲田院出身であったことなどが判明した。

  第二に、同「非人」集団の内部に「悲田院仲間」「手下新非人」および「新屋敷手下非人」という三つの小集団があり、「悲田院仲間」から長吏・二老・小頭などの役職者を出していたこと、これら役職者は小頭一人を除き悲田院出身者であることなどが分かった。

  第三に、『摂州東成郡天王寺村転切支丹類族生死改帳』などから、同宗門改帳の中に転びキリシタンの類族が記されていることが分かり、類族家族一一軒を確認し、かつその家族の実態と特徴を明らかにすることができた。