竹のある暮らし
竹を素材とした生活用品や楽器、建築材、日本文化を代表する茶道やいけばなに使われる道具など。竹は歴史が記される以前の遥か昔より、暮らしの中で人々と深く結びつきその文化を支えてきました。
被差別部落と竹細工
広島県北部の山に囲まれた三次盆地。江戸時代、この地方一帯の被差別部落の多くは、川沿いに強制的に移転させられました。人々は生きていくために、川や山を利用した仕事をはじめ、その一つに竹細工がありました。
竹細工に生きる
広島県三良坂町。石田繁春さんは、子どもの頃から竹細工師の道を歩んだわけではありません。竹細工一筋に生きてきた父が亡くなってから、父の生き様について考えつづけ、竹細工に対して固く閉ざしていた心が徐々に開いてきました。
『竹取物語』と竹細工師
竹の文化に詳しい沖浦和光さんが竹細工について興味深い話を聞かせてくれました。それは『竹取物語』です。竹林でかぐや姫を見つけ出した竹取翁は、貧しい竹細工師でした。
現代の竹取翁
鹿児島新報県独特の製法で箕づくりをする時吉秀志さん。箕は、米と糠や小さなゴミをふるいわける農作業の道具です。現代、箕は霊力が宿ると信じられ、長寿祈願の縁起物として使われたり、インテリア素材として重宝されています。
現代の竹取翁
安来節のどじょうすくい踊りでおなじみの「米揚げ笊」。この笊作りひとすじの竹細工師が竹本善春さんです。「・・・自分が入院したときに、島根県の人でこしらえよったけども。どもいけんいいよったねぇ」少し照れた表情の中に、竹細工師としての自身がうかがえます。
伝統産業としての竹細工
兵庫県三田市鈴鹿。かつて「鈴鹿の竹製品は全国一」と言われるほどの腕を持つ竹細工師がたくさんいました。しかし、その技術を今も受け継いでいるのは植田一彦さんただ一人です。
竹細工サークル
三田市が開催した竹細工教室がきっかけとなって、市民の自主的なサークル「竹の子会」が出来ました。植田さんは、谷元まちゑさんと一緒に鈴鹿の竹細工技術を後世に伝えようと、竹細工サークルを指導しています。
誇りを胸に
作家野間宏さんと出会った石田繁春さんに大きな転機が訪れます。石田さんは、差別の中を行き抜いてきた先人たちの想いと技術を受け継ぎ、新しい作品づくりに挑戦をしています。作品の名は「希道」。作品に込めた想いは「あすにつぐもの」