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2006.08.31

新聞で読む人権
2006年4月-6月

「災害時要援護者」(被害弱者)の視点


  • 3月26日 読売新聞 大阪 避難 被害弱者 街ぐるみで支援を模索


 近年の相次ぐ大規模な地震や水害、雪害などで、高齢者や障害者等といった人々に被害や犠牲が集中する傾向が多く見られます。2004年夏の新潟豪雨で、水死した12人のうち「歩行困難のため自宅で水死した人」が4人いた、と調査されています。

 昨年、アメリカのニューオーリンズ市を襲った巨大ハリケーンの被害も、黒人等の社会的困難を抱えた人々にもっとも大きな打撃を与え、復旧の点においてもなお今日、大きな遅れをもたらしていることが報道されています。

 日本では「災害時要援護者」と呼ばれており、消防庁が3月に発表した調査結果では、全国2349市町村で避難の支援策が決まっているのは26%、情報を防災部局が把握しているのは21%、といった状況です。

 こうした取組みの遅れの一因に、個人情報保護法の誤解や不備があります。当該者の名簿作りを推進する行政でも、防災担当の総務課が福祉部局に障害 者の情報提供を求めると、「本人の承諾がない」「目的外使用になる」と拒否されたという混乱が起きています。これに関しては、内閣府は、3月にまとめた 「要援護者の避難支援指針」で「目的外使用が許される『明らかに本人の利益になる場合』に該当するので、ためらわずに情報提供すべき」と明示しました。

 また、2004年に(社)日本損害保険協会がまとめた『東海豪雨 そのとき企業は』では、2000年の東海豪雨の教訓として、災害時の帰宅困難者の受入れについて、高齢者や子ども連れの場合、自治体や病院が「優先受入れ 要請書」を発行しておくといったことを、ホテル単独ではなく業界として自治体と防災協定を結んでおくことを提起しています。