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2006.11.21

新聞で読む人権
2006年7月-9月

フリータの実態

  • 2月26日 朝日新聞 大阪 「ニート=怠け者」乱暴なレッテル 「何もしていない」0.7%だけ

  • 3月24日 産経新聞 大阪 非正社員の賃金、正社員の6割

  • 5月1日 朝日新聞 大阪 時時刻刻 若者の失業対策→教育+職業訓練 ドイツ式雇用 光と影

  • 7月20日 産経新聞 大阪 日本の「貧困層」拡大 OECD報告 教育水準低下を懸念

  • 8月9日 朝日新聞 大阪 35〜44歳のフリーター増加 非正規の若者、非婚率が高め

<まとめ>

 『2005年版・労働経済白書』(厚生労働省)は、2004年のフリータ(15〜34歳の非正社員で学生や専業主婦を除く)数を約213万人と し、『2003年版・国民生活白書』(内閣府)の推計は2001年時点で約417万人としています。その大きな違いは、派遣や嘱託社員を含むかどうか、失 業者の数を正社員希望者まで含んでいるかどうかからきていますが、いずれにしろ膨大な不安定就労者が若年層に存在して社会問題化してきています。

 特に『2006年版・労働経済白書』では、3つの重要な指摘をしています。

 第1に、全体は減少傾向にあるにもかかわらず、35〜44歳のフリータが増加しているという特徴です。バブル崩壊後の「就職氷河期」に学校を卒業した世代をはじめ、フリータ層の中で正社員となれずに「滞留する傾向」が低学歴層を中心に生まれ始めていると推測されます。

 第2に、フリータの場合、正社員と比べて配偶者がいる割合は半分程度で、1992〜2002年の10年間で、非婚率は一貫して高まってきているこ と、そのため少子化を促進する要因にもなっていること、公的年金に加入していない割合が高く将来的に生活保護世帯の増加要因になること、という点です。

第3に、解決策として、企業が積極的に正社員として雇用していく仕組みづくりや、就業形態間(正規・非正規間など)の処遇均衡を確保するための法的整備等の強化、を挙げています。

7月に出されたOECDの日本についての報告文の中でも、上記のような懸念が経済成長を阻害するとして指摘されています。

 また、フリータやニート(学生でなく働いてもおらず職業訓練も受けていない若者)は、ややもすると「怠け者」というレッテルが貼られやすい傾向や 社会の意識があります。しかし、2005年7月の内閣府「青少年の就労に関する研究調査」最終報告書によれば、「特に何もしていない」と答えた人は「非求 職型」ニート(働きたいと考えているが求職活動をしていない)と「非希望型」ニート(働きたいと考えていない)の合計の3割強ほどで、「進学や資格取得の 準備「」療養中」等、何らかの活動をしているか働けない事情があるということが明らかになっています。