全国の児童相談所が在宅指導、施設入所などの対応をした児童虐待は、2005年度、3万4451件に達し、前年度より3.1%増え、過去最多を更新しました。1999年度に1万件を突破しましたが、6年間で3倍にまで増加しています。
これらの背景には、近年の格差社会の進行も大きく影響しているようです。2005年、厚生労働省の科学研究調査費を得て、子ども家庭総合研究所が 調査した「児童相談所が対応する虐待家族の特性分析―被虐待児童及び家族背景に関する考察」の結果では、被虐待児童の家族背景を見ると、1)約45%が経 済的に低所得の世帯、2)母子31%、父子6%と単身世帯が高いこと、3)持家率は15%(全国平均61%)、4)親の学歴が母親で中卒51%、高卒 40%、大卒1%、等が示されています。
他方取組みとしては、2005年4月に試行された改正・児童虐待防止法に基づき、市町村が学校や医療機関などと作る「要保護児童対策地域協議会」 と法定化されていない「児童虐待防止ネットワーク」の設置状況が、2005年6月時点の厚生労働省調査では、約1200市町村にとどまっています。府県別 の格差も大きく、山形、神奈川、大阪ではすべての市町村で設置されていますが、秋田、福島、山梨、和歌山の市町村の設置率は1割台です。
また文科省の調査(2005年6〜8月)では、公立小中学校の教職員の3割強が、児童虐待の発見者に課せられている児童相談所などへの通告義務を知らなかったことが明らかになっています。