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2007.03.29

新聞で読む人権
2007年1月-3月

インドの被差別カースト

  • 2007年2月1日 読売新聞 大阪 興隆インド 被差別カースト 教育でなりあがれ
  • 2007年2月1日 読売新聞 大阪 興隆インド 政府の下位層優遇策 「逆差別」叫ぶ声強く

<まとめ>

 ヒンドゥー教に基づくカースト制度は、独立後のインド憲法において禁止されているにもかかわらず、今日においても深刻な社会的差別を引き起こして います。特に、アウトカーストであるダリットの人たちに対する差別実態については、国際連合における「職業と世系に基づく差別」に関する調査研究でも、経 済格差や教育問題、さらには偏見に基づく暴力行為の頻発など、様々な課題が明らかになっています。さらには、上位カースト出身者が多数を占める大学におい て、低位カースト出身者に対する教員によるあからさまないじめが行われています。

 このような差別実態に対して、インド政府は、国立大学入学や公務員採用などにおいて、優先枠を認めており、2006年にはダリット以外の下位カー ストについても新たに優遇枠を設ける方針を打ち出しました。こうした積極的差別是正措置は、格差是正のために重要な役割を果たしています。

 しかしながら、今日の経済成長のもとで、都市部においてはカーストより個人の能力が重視されるにいたり、下位カーストの社会進出に危機感を募らせ る上位カーストが、深刻な差別の実態に目を向けることなく、かかる優遇措置に対して「逆差別だ」として抗議しています。しかし、社会において深刻な差別の 実態がある以上、低位カースト出身者が安定した生活を送るためには、多大な努力が必要であることを考える必要があるでしょう。