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2007.03.29

新聞で読む人権
2007年1月-3月

ホームレスへの偏見と取組み

  • 2006年11月25日 朝日新聞 大阪 野宿人生、児童と語る 「同じ人間、肌で感じて」
  • 2007年1月9日 朝日新聞 大阪 社説 野宿者襲撃 社会のまなざしが透ける
  • 2007年1月18日 日本経済新聞 大阪 夕刊 「屋根の下で住む権利」保障 ホームレス対策行政に住宅提供義務
  • 2007年1月26日 朝日新聞 大阪 夕刊 路上の哀歓ホームレスバンド 中年男性5人に若手女性が協力 手には鍋ぶた・フライパン・・・
  • 2007年2月19日 毎日新聞 大阪 ホームレス問題全国調査 仕事続けられる支援必要
  • 2007年2月2日 読売新聞 大阪 未来世紀ニシナリ 労働者、ホームレス、支援者たちの今 ドキュメンタリー完成 2年かけ支えあう姿追う

<まとめ>

ホームレス問題は、近代以前から存在しますが、今日大きな政策課題としてクローズアップされる背景には、バブル経済崩壊以降の平成不況の下で、中高 年労働者の働き口が減少し、失業が長期化したことが挙げられます。2002年には「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が制定され、この法律に 基づいて2003年に行われた初の実態調査では、25,000人を超える人々がホームレス状態にあることが明らかになりました。

このような状況のもとで、野宿生活者を襲撃する事件がにわかに増加しました。子どもたちや若者たちによって花火や石が投げ込まれる事象などは日常茶 飯事であり、中には暴行を受け、殺害される事例も発生しています。その背景には、「ホームレスになったのは自業自得だ」という大人たちの意識を子どもたち が敏感に受け止め、「あの人たちには何をしてもいい」という考え方を持つに至っているものと思われます。

公的機関によるブルーシートの強制撤去も、こうし た意識を強める効果をもつものと思われます。他方で、襲撃をしている子ども達もまた、学校や社会から脱落しつつある場合が多く、自らの逼塞感をさらに弱い 人たちに向けていることも考えられます。

こうした事態を改善するためには、野宿生活から抜け出せる仕組み、とりわけ継続的に働きつづけられる仕組みが求められますし、前向きに生きていける 多様な支援が重要です。他方で、ホームレスの人たちに対する子ども達の偏見を和らげるために、当事者たちの実際の生活実態に迫っていくという人権教育の取 り組みが不可欠でしょう。また、大人たちに対しても、ホームレス問題に対する適切な理解を深める啓発が求められます。