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新聞で読む人権
2007年4月-6月

障害者差別

  • 2007年4月8日 読売新聞 大阪 「障害者差別ある」8割 内閣府世論調査 「発達障害理解浅い」過半数
  • 2007年5月11日 読売新聞 大阪・夕刊 障害者雇用率パート算入 厚労省方針 就労確保へ基準見直し
  • 2007年4月27日 産経新聞 大阪 ユニクロ1位7.42% 半分以上が未達成 障害者雇用率

障害者にかかわる3つの記事です。1つめは、内閣府がおこなった「障害者に関する世論調査」で、8割を超える人びとが「障害者への差別や偏見がある」と答えていること。2つめは、厚生労働省が、企業などの障害者雇用率の算定基準に週の労働時間が30時間未満のパート労働を加える見直し方針を固めたこと。そして3つめは、その障害者雇用率を大企業に限ってみた場合には「ユニクロ」がトップであったことを報じているものです。

冒頭の内閣府の調査は、今年2月に全国の20歳以上の成人を対象に、個別面接聴取により実施されたもので、同調査は5年ごとに実施されています。

今回の調査で初の質問項目として「世の中には障害がある人に対して、障害を理由とする差別や偏見があると思うか」が加わりました。「あると思う」とする人の割合が82.9%(「あると思う」52.0%、「少しはあると思う」31.0%の合計)も存在し、多くの人びとが今なお厳しい障害者への差別と偏見を認識している結果が明らかとなりました。

「あると思う」とする人たちは、女性よりも男性の方が多く、また年齢が若くなるほど差別や偏見を認識している比率が高いことも、結果には表れています。

2004年6月に改正された「障害者基本法」には、「障害者に対して、障害を理由として、差別することその他権利利益を侵害する行為をしてはならない」と法の基本理念に謳われています。その基本理念を問う設問には「知っている」人が4割を超えています(40.7%)。

2005年4月に施行された「発達障害者支援法」をふまえ、発達障害への社会の理解度への設問には、理解は「深まっているとは思わない」とする人が51.6%、また「知らない・わからない」と答えた人が10.2%あり、「学習障害」や「注意欠陥・多動性障害」などへの理解の認知度は低いことも明らかになっています。

また、昨年12月、国連で採択された「障害者権利条約」については、「知らない」人が8割ちかく(78.7%)も存在しています。

障害者の雇用に対する雇用率は「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」に基づき、罰則をともなう義務として課せられています。

2007年度の「障害者白書」の内容が、つい先日閣議決定されましたが、そこでは全国の障害者数は約710万人おり、内訳として身体障害者352万人、知的障害者55万人、精神障害者303万人と発表されています。障害者の雇用実数の調査は、毎年6月1日現在を基準日とする報告義務がありますが、昨年6月1日現在の雇用率は1.52%にすぎません。従業員が5人以上の零細企業を含めた雇用されている障害者実数は49万6000人で、国が把握している障害者総数の1割にも達していません。

昨年4月から施行されている改正障害者雇用促進法では、はじめて精神障害者が、雇用率の算定対象となりました。また、在宅の障害者へ仕事を発注した企業には助成金(「特例調整金」等)が支給されるようになっています。

記事にある厚生労働省の見直しでは、これまで企業への各種助成金への対象とはなっていましたが、雇用率には算定されていなかった週の労働時間が20時間以上で30時間未満のパート労働者が対象となっています。

前述の毎年6月1日での障害者雇用調査の報告で、昨年の従業員5000人以上ではユニクロが7.42%の障害者雇用率の報告があったとのことです。全産業での雇用率が1.52%であることと比すると、大きな数値といえます。しかしながら、障害者雇用に積極的な中小・零細企業などでは、重度障害者のダブルカウント(二重に算定する)などにより、雇用率が100%を超える企業も存在していることも事実です。