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2007.12.07

新聞で読む人権
2007年10

「人権擁護に関する世論調査」で、42%人権侵害「増えた」

  • 8月26日 日本経済新聞 大阪 人権侵害「増えた」42%

 内閣府が実施している「人権擁護に関する世論調査」の結果が、公表されました。この調査は、無作為に抽出された20歳以上の男女3000人を対象に実施されたもので、様々な人権問題についての関心や知識を問うものです。

 その調査結果によれば、人権侵害が増加したと感じている人が前回の調査に比べて5.8%増加し、42%に上っています。また、実際に人権侵害を受けたと答えたと答えた人も、16.3%と前回に比べて2.4%増加しています。人権侵害の内容は、「あらぬうわさ、悪口・陰口」が47.4%、「名誉・信用の毀損、侮辱」も20.2%と高く、人権擁護局は「インターネットの普及が影響している」と分析しています。

 インターネットの普及が関係していることは重要な側面ではありますが、しかし、人権侵害事象が増加している背景には、今日の日本社会に、人権や人間の尊厳を軽視する風潮があるのではないでしょうか。その点にまで迫るような人権状況の分析が求められています。

 なお、この世論調査は、実に広範多岐にわたる人権課題についての意識を問うており、個々の課題についての正確な意識を把握することは困難です。また、人権課題の解決の手法として、啓発と処罰、被害者救済が同列に並べられており、それぞれの方策が有する固有の意義を捨象しています。そのため、この世論調査結果が、被害者救済や加害者の処罰を軽視し、人権啓発をしていれば世論に答えているのだとして、人権保障の包括的な制度構築を妨げる論拠に用いられかねません。

 そのため、それぞれ個別の人権課題に即した精密な人権意識の把握や、啓発に限られない人権保障の仕組みが必要であるとの理解が求められます。