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2007/10/04 毎日新聞 大阪 夕刊 怒りを誇りに20年 差別を打つ
被差別部落の伝統産業・文化である和太鼓づくりを自ら誇り、広く知ってもらう活動を続けてきた太鼓演奏グループ「怒」(いかり)が、結成20年を迎えた。太鼓づくりはその材料が牛皮革で、平安時代末期より死牛馬の処理を「役」(義務的労働)とされてきた被差別民が担ってきた。死牛馬の処理(の担い手)に対する「ケガレ」への畏怖と忌避・差別は、時代と共に忌避や差別の側面が強くなり、近世の皮多身分(近代以降の被差別部落)へとつながっている。
「怒」(いかり)の地元、大阪市浪速地区も被差別部落の一つで、江戸時代から近代において全国でも有数の牛皮の集積地であり、太鼓の生産地であった。その反面、今日に至っても部落差別の対象ともなってきた(参照「浪速部落の歴史」編纂委員会編『太鼓・皮革の町 浪速部落の300年』2002年11月、解放出版社)。
こうした中、地元の太鼓づくりを直視するとともに、太鼓演奏の魅力に気付いていくあるきっかけから「怒」の結成と20年に及ぶ取組みが営まれてきた。さらに大阪府内では、「怒」の活動に触発され、部落の太鼓グループが15団体ほど結成され活動が続けられている。
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