Home人権関係新聞記事DB>新聞で読む人権>本文
2008.05.09

新聞で読む人権
2008年03

インターネットを通じた犯罪などについて、約半数の市民が不安を感じています。

  • 2008/01/27 読売新聞 大阪 ネット利用 45%「不安」 内閣府調査 個人情報流出など懸念




 IT化が進展し、インターネットを通じた情報交換や取引がとても盛んになっており、市民生活も大変便利で豊かになってきました。しかしながら、個人情報の流出やネット上の詐欺事件などが相次いでおり、さらには出会い系サイトを通じて子どもたちが犯罪に巻き込まれる例も跡を絶ちません。そこで、内閣府は、インターネットの安全性に関する施策の参考とするため、2007年11月に「インターネット上の安全確保に関する世論調査」を実施し、その結果が本年1月に公開されました。

 全回答者の44%が日常的にインターネットを利用していると答えていますが、全回答者の45%が、インターネット利用に関して何らかの不安をいだいているそうです。不安に感じるものとして、「個人情報の流出」(66.5%)、「不正アクセス」(52.1%)、「架空・不正請求」(50.5%)、「ウィルスによるデータの破壊」(47.7%)が高い数値を示していますが、何らかの不安を抱いている人の4分の1にあたる24.5%が、「ネット上での誹謗・中傷」を挙げている点は注目に値します。

 また、出会い系サイトに関しても、47.4%の市民がその存在を認知していますが、これらのサイトを通じて、子どもたちが被害に遭わないようにするため、どのような防止策が必要かを尋ねたところ、「児童の利用ができなくする機器の開発やシステムの技術を促進する」という技術的な対策を挙げるものが多いのですが、「保護者に対して児童による利用を防止するよう義務づける」(33.5%)として、保護者に対する責任を挙げている人も3分の1に登っています(ただし、質問項目として義務付けのみが挙げられている点は設計として適切さを欠いているかもしれません。保護者への啓発もまた他方で重要な対策ではないでしょうか)。

 他方で、ホットラインセンターの認知度は低く(12.6%)、ネット上のトラブルや有害情報問題の対策として、有効に機能しえていないことが伺われます。そのため、これらの相談・対応窓口の認知度向上が求められるといえるでしょう。他方で、警察による監視強化を望む声は半数に及んでいます。不安の高まり(いわゆる「体感治安」の悪化)が警察力強化に結びつくという現象が、ここでも見られるといわなければなりません。

 なお、今日いじめ問題と関わって重大な課題となっている学校別掲示板の問題は、この調査では触れられていません。ネット上の誹謗中傷は、子どもの社会にも広がっている実態を踏まえた対策を講じることが必要ではないでしょうか。

内閣府「インターネット上の安全確保に関する世論調査」