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2008.06.10
意見・主張
  

 人権啓発の現状把握と効果検証に向けた指標作成研究事業報告書

2008年、A4判、186頁

 「人権啓発の現状把握と効果検証に向けた指標作成研究事業」は、「大阪人権教育啓発事業推進協議会」からの委託により、(社)部落解放・人権研究所が実施した事業である。本報告書は、その研究成果である。

 マイノリティの人々に対する差別をはじめ、さまざまな社会問題が生起している現代社会において、人権尊重の理念を普及させるための人権啓発はより重要性を増している。とはいえ、効果的な人権啓発の推進が求められているものの、現状においてどのような啓発が行われており、それがどのような効果をあげているのかといった視点からの基礎的な調査研究は、(社)部落解放・人権研究所によって毎年発行されている『人権年鑑』を除けば、ほとんどないと言ってよい。

 また、人権啓発の分野においても、同和問題をはじめとして、女性・子ども・高齢者・障害者・アイヌの人々・外国人の人権問題など、さまざまな領域に視野を広げ、実践が広がりつつあると考えられるが、テーマ・頻度・内容・プログラム・効果検証がどのように行われているのかについては不明である。そこで本研究事業では、大阪府内を中心に、各自治体が行っている啓発について、現状把握のための調査を行うこととした。

 また、これらの人権啓発の効果については、市民を対象とした意識調査の結果など、マクロなレベルでの検証にとどまることが多く、啓発実践に対する効果検証の視点は乏しかった。そこで、調査から把握される効果的な人権啓発実践が行われている事例を抽出したうえで、効果測定指標の作成に向けた視点を整理することを目指した。

 これらの調査研究により、<1>自治体による人権啓発の推進体制・人権啓発実践の現状を把握できたこと、<2>人権啓発を推進するにあたっての問題点を整理したこと、<3>効果があったと考えられる人権啓発実践を収集し、GoodPracticeを提示することで、効果的だと考えられる実践が広く共有されること、<4>効果検証の視点を整理したことにより、効果的な啓発事業につながりうるさまざまなチェックポイントが提起されたことが、その成果としてあげられる。

(文責:内田龍史)

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