はじめに
序章
1. 夢と理想の実現をめざして
2. 人権社会のシステムを
3. 差別意識の背景にあるもの
差別意識がなぜなくならないか/社会システムが大きな要因/世間に対する同調行動/利害に関わると差別側に回る/不当な一般化
第1章 新しい人権を見るヒント
1. 遺伝子工学がもたらす人権問題
人権の世紀の新たな人権/遺伝子差別の時代/ヒトはいつ「人」になるか/胎児の遺伝子診断と差別/「生命の誕生」を操作する技術
2. マルチメディア時代の人権
情報技術がもたらす仮想現実/仮想体験が意識を変える/インターネットと人権のボーダーレス化
第2章 同和行政改革へのヒント
1. 同和行政のとらえ方
自立促進から自己決定のための条件整備へ/めざすべきは人権確立社会
2. 建設的・総合的な同和行政の基本視点
部落差別の実態に立脚する/明確な目標と実現への構想をもつ/部落住民を基軸にすえる/部落住民の自覚と自立を高める/社会システムを改革する
3. 「人権条例」と同和・人権行政
人権条例制定は出発点/条例の内容を知らせることの大切さ/人権評価システムの確立を/人権施策基本方針の策定を市民参加で/人権状況の多面的な把握を
第3章 同和・人権教育改革へのヒント
1. 差別事件に何を学ぶか
差別事件が起こる背景/差別事件を分析する/差別の構図を見抜く/教育に高い人権水準を
2. 差別意識変革へのヒント
融和思想の克服を/真の誇りの確立を/ねたみ意識の克服を
3. 差別事件に学ぶ運動の課題
部落解放運動への正しい理解を/糾弾に対する偏見の克服を/差別に対抗する力量を/常に根源的解決をめざして
4. 差別事件から見える学校教育の課題
まずは子どもの能動性を/被差別への共感を/反差別・人権確立の方向性/「ちがい」を尊重する/小・中・高・大の相互連携を/学校教育・社会教育の有機的連携を
5. 差別事件が示す教育・啓発内容の課題
悪質化に歯止めを―教育・啓発の意味/自身の意識を対象化すること/自らの課題として/意識や知識の正確な把握を/具体的な体験・実践を
第4章 「人権企業」改革へのヒント
1. これからの企業啓発
危機と好機が隣り合う変革の時代/構造的差別に迫る企業啓発を/楽しく主体的に学べる内容・方法を
2. 経営・業務と人権の一体的認識を
自己実現と全米障害者法/人権の視点なき発展は不可能/人権ベクトルと企業経営/人権上のチャンスをつかみ取る企業に/もっとも進んだ人権水準を/国際経済はますます人権重視に
第5章 運動改革へのヒント
1. 社会変革をめざす組織へ
決断と実行が求められる変革の時代/これまでの組織の目標/行政依存体質という弱点/運動に必要なパワーとは/完全解放をめざすビジョンを描く/運動の今日的段階と方向性
2. 差別に荷担する「えせ」同和の排除
差別意識を利用する「えせ」同和/つけこまれる側の問題
3. 社会システムの改革を迫る糾弾闘争
多様な糾弾闘争の確立を/法規制・法救済と一体化した糾弾闘争/事実と差別性の認定がもっとも重要/差別性の基準/社会システムの改革へ
4. 部落解放運動の再構築
運動の本来の力量とは/運動が抱える問題点/運動におけるパワーの源泉の移行/不十分な実態認識と不明確な目標/人材育成に関わる問題/財源と組織運営/成功体験の問題点/改革の思想で正しい方針を
あとがき