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常に民衆の側から文化・芸能を見続けてきた著者の書き下ろし。
その筆は、日本の仮面から海外の仮面に及び、さらに能「道成寺」「弱法師」の原型を民衆芸能に求めて、縦横に走る。

黒い翁
民間仮面のフォークロア

乾 武俊 著
A5判・上製・233頁・4月刊行・定価5000円+税
ISBN4−7592−4302−X

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もくじ

第一部 民間仮面のフォークロア
     「民間仮面」の原型のひとつ
     「血」と「神」
     ネパールの仮面との出会い
     「血」と「皮剥ぎ」、「毛」と「釘打ち」
     呪としての「皮剥ぎ」
     「まだら」の両義性
     排除と帰依の構図
     逆剥ぎ・肉づきの面
     帰ってきた「サムトの婆」
     「民間仮面」に重層するもの
     修験における「火王」「水王」面
     紀州の面売りがのこした尉面
     「熊野の秘境」と「土佐の秘境」
     「色川の七面」と「物部の七面」
     「天狗」の原型
     「烏」の仮面と「鼻高」の仮面
     「熊野」を軸にする乱反射

第二部 三つの能 その周縁と深層

   一 黒い翁
     那智田楽「シテテン」の位相
     水海の「あまじゃんごこ」と「阿満」
     剥落した黒い「田男」の仮面
     上鴨川住吉神社の「万歳楽」
     「白い翁」と「黒い翁」の瞬時の対面
     「千歳」と「三番叟」の謎の問答
     能勢がイメージしていた仮面
     「露払」は「キヨメ」の役
     「キヨメ」の翁面・「田楽」の翁面
     「万歳楽」「三番神」のゆがんだ面
     もの言う仮面・もの言わぬ仮面
     「ウソブキ面」と「ハリゴマ面」
     「花祭」のなかのからかわれる翁
     毛越寺延年の「老女」

   二 道成寺
     一九四五年八月十五日のこと
     鐘の響・「鐘巻」と「道成寺」
     乱拍子・身に打込まれる釘
     変身・鳴ってはならぬ鐘
     ねじ木・追跡をやめた女
     民俗芸能のなかの「道成寺」‡@
     民俗芸能のなかの「道成寺」‡A

   三 弱法師
     説経『しんとく』と謡曲『弱法師』
     「異例」についての折口の考え
     「身毒丸」のテーマの分裂
     「父」の過ち・能面の斑点
     「父」の大きさ・「子」としての過ち
     世阿がえがいた「鬼」・変節のこと
     元雅の「自殺」・世阿の「地獄」
     
   「あとがき」にかえて