まえがき
総論 身分制成立史の比較研究―日本の賤民差別とアジアの身分制 沖浦和光
一 「国際身分制研究会」を起動させた三つの契機
二 アジアにおける身分制度の三つの源流
三 中国の身分制思想―荀子と韓非
四 インドのヴァルナ制とカースト制差別
五 なぜ身分制は解体されていったのか
第I部 中国・朝鮮の賤民制
第1章 中国の被差別民―山西楽戸をめぐって 好並隆司
はじめに
一 明・清代までの賤民・楽戸
二 楽戸の近・現代
三 楽戸の解放
四 日・中賤民の性質
五 楽戸以前
六 後漢以降の音楽
むすび
第2章 近世朝鮮の「白丁」と「奴婢」―『経国大典』を基に 梁永厚
はじめに
一 白丁部落の形成―「才白丁団聚」条
二 白丁の生活
三 公賤と私賤―「奴婢法制」
四 奴婢身分の得失―金玉均の妻女
むすび
第II部 インド・ネパールのカースト制差別
第1章 インドのカースト制度と不可触民差別 小谷汪之
はじめに
一 四ヴァルナ(種姓)社会理論の形成
二 カースト制度・不可触制度の形成
三 インド中世のカースト制社会と不可触民
四 イギリス植民地支配の影響
五 独立インドにおける留保政策(リザヴェーション)
第2章 ガンディーと被差別カーストの解放 加藤昌彦
はじめに
一 ガンディーの中のハリジャンの位置
二 ガンディーとカースト制度、反近代
三 ハリジャン・ツアー
四 独立インドの中で―ダリットの政界進出
五 その後のガンディー主義者
おわりに
第3章 ネパールのアンタッチャブル 桐村彰郎
はじめに
一 カースト制度の浸透・拡大
二 専制支配に利用されたのカースト制度
三 ネパール・カースト差別の現在―アンタッチャブルとは誰なのか?
四 ダリットの受ける差別の諸相
おわりに
第III部 日本の部落差別
第1章 インドの「不可触民」差別と日本の部落差別―その比較史的考察のための試論 寺木伸明
はじめに
一 被差別身分の起源
二 身分と結びついた職業
三 被差別身分に課せられた役務
四 差別を支えてきた宗教・ケガレ観念
五 祭祀へのかかわり
六 インドの「不可触民」差別と部落差別の共通点と相違点
おわりに
第2章 キリシタン弾圧と部落差別 柳父 章
はじめに
一 キリシタンを恐れた権力者たち
二 殉教―想像を絶する「異文化」
三 キリシタン類族―幕府が作った血族というフィクション
四 キリシタンへの民衆の誤解と無理解
五 「境界人」としてのキリシタンと被差別民
六 平人、類族、賤民
第3章 日本近世儒教における差別と解放―穢多身分をめぐって 三宅正彦
はじめに
一 海保青陵と『善中談』
二 千秋有磯と「穢多を治むるの議」
むすび
第IV部 現代と「身分」差別
第1章 部落差別における人種主義―「人種」から「民族」へ 黒川みどり
はじめに
一 「天理人道」による「旧習」の否定
二 「人種」による線引き
三 人種主義の定着・浸透
四 「日本民族」への包摂
五 「国民一体」論と人種主義の併存
おわりに
第2章 国連と「身分差別」問題をめぐる動向 友永健三
はじめに
一 国連の人権関係の会議での議論
二 若干の理論的問題
三 現代における身分差別
四 差別問題を考える基本的視点
五 差別撤廃の基本方策
六 差別撤廃の具体的方策
おわりに
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