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更新日●2004.09.10
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 日本、中国、朝鮮、インド、ネパールにおける身分制とそれに基づく差別は歴史的に国を越えてどう影響を及ぼしあったのか。法制史や社会史など様々な角度から比較研究を行う。


アジアの身分制と差別

沖浦和光・寺木伸明・友永健三=編著

2004年9月30日発行
A5版、並製、287ページ、定価3300円+税
ISBN4-7592-6330-6 C3036
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もくじ

まえがき

総論 身分制成立史の比較研究―日本の賤民差別とアジアの身分制 沖浦和光

一 「国際身分制研究会」を起動させた三つの契機
二 アジアにおける身分制度の三つの源流
三 中国の身分制思想―荀子と韓非
四 インドのヴァルナ制とカースト制差別
五 なぜ身分制は解体されていったのか

第I部 中国・朝鮮の賤民制

第1章 中国の被差別民―山西楽戸をめぐって 好並隆司

はじめに
一 明・清代までの賤民・楽戸
二 楽戸の近・現代
三 楽戸の解放
四 日・中賤民の性質
五 楽戸以前
六 後漢以降の音楽
むすび

第2章 近世朝鮮の「白丁」と「奴婢」―『経国大典』を基に 梁永厚

はじめに
一 白丁部落の形成―「才白丁団聚」条
二 白丁の生活
三 公賤と私賤―「奴婢法制」
四 奴婢身分の得失―金玉均の妻女
むすび

第II部 インド・ネパールのカースト制差別

第1章 インドのカースト制度と不可触民差別 小谷汪之

はじめに
一 四ヴァルナ(種姓)社会理論の形成
二 カースト制度・不可触制度の形成
三 インド中世のカースト制社会と不可触民
四 イギリス植民地支配の影響
五 独立インドにおける留保政策(リザヴェーション)

第2章 ガンディーと被差別カーストの解放 加藤昌彦

はじめに
一 ガンディーの中のハリジャンの位置
二 ガンディーとカースト制度、反近代
三 ハリジャン・ツアー
四 独立インドの中で―ダリットの政界進出
五 その後のガンディー主義者
おわりに

第3章 ネパールのアンタッチャブル 桐村彰郎

はじめに
一 カースト制度の浸透・拡大
二 専制支配に利用されたのカースト制度
三 ネパール・カースト差別の現在―アンタッチャブルとは誰なのか?
四 ダリットの受ける差別の諸相
おわりに

第III部 日本の部落差別

第1章 インドの「不可触民」差別と日本の部落差別―その比較史的考察のための試論 寺木伸明

はじめに
一 被差別身分の起源
二 身分と結びついた職業
三 被差別身分に課せられた役務
四 差別を支えてきた宗教・ケガレ観念
五 祭祀へのかかわり
六 インドの「不可触民」差別と部落差別の共通点と相違点
おわりに

第2章 キリシタン弾圧と部落差別 柳父 章

はじめに
一 キリシタンを恐れた権力者たち
二 殉教―想像を絶する「異文化」
三 キリシタン類族―幕府が作った血族というフィクション
四 キリシタンへの民衆の誤解と無理解
五 「境界人」としてのキリシタンと被差別民
六 平人、類族、賤民

第3章 日本近世儒教における差別と解放―穢多身分をめぐって 三宅正彦

はじめに
一 海保青陵と『善中談』
二 千秋有磯と「穢多を治むるの議」
むすび

第IV部 現代と「身分」差別

第1章 部落差別における人種主義―「人種」から「民族」へ 黒川みどり

はじめに
一 「天理人道」による「旧習」の否定
二 「人種」による線引き
三 人種主義の定着・浸透
四 「日本民族」への包摂
五 「国民一体」論と人種主義の併存
おわりに

第2章 国連と「身分差別」問題をめぐる動向 友永健三

はじめに
一 国連の人権関係の会議での議論
二 若干の理論的問題
三 現代における身分差別
四 差別問題を考える基本的視点
五 差別撤廃の基本方策
六 差別撤廃の具体的方策
おわりに

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