今号は、全国的に実施が進む学校評価制度を、排他的な学校間競争のためではなく、「地域に根ざした学校づくり」「不利な立場にある児童・生徒の学力保障」にどう活かすか、という問題意識にもとづいて企画した教育特集号である。
八尾坂論文は、先進的といえる大阪府学校教育自己診断の意義と課題について学校評価の本来の基本理念に立ち返り、実践例を交えつつ論じる。岡田論文は、八尾坂論文を受け、地域との協働を「強み」として「元気の出る学校づくり」をめざす大阪府岬町の学校教育自己診断の実践を、また中野論文は、福岡県田川市における学力向上プロジェクトの取り組みと、その成果検証・改善の過程で用いる「個人カルテ」「田川市授業改善の指針」等のさまざまな手法を紹介する。
また、人権委員会から改組された国連人権理事会の第二会期に反差別国際運動インターンとして参加したスティンソン報告、中野論文との関連で、田川市立金川小学校と大学生との関わり、およびその意義を紹介する短信、大塩平八郎にみる近世陽明思想の被差別民観を読み解く森田論考のほか、弾直樹の褒賞に関わる公文書、松本治一郎に関わる書簡等、二編の歴史資料紹介を掲載した。 (K)
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