本稿は、近世大坂の非人研究では取り上げられなかった非人組織である十三組の実態を、二〇〇七年発刊予定の「長吏文書」などから明らかにすることを試みたものでる。
十三組は、天和三年(一六八三)から翌四年にかけて、大坂市中の無宿・野非人対策によって生み出され、四ケ所に配分された集団がその起こりである。 集団を束ねたのが十三組小頭で、当初の組頭の人数に依拠して「十三組」と称するようになった。
成立の経緯から、十三組は四ケ所の長吏・小頭から「差別の意識」を持たれていたが、公役は同様に勤める存在でもあり、組織内の構成員は四ケ所と様々な点で関わりを持ち、流動性も有していた。
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