Home書籍・ビデオ案内 部落解放研究もくじ > 要約
2007.10.4
書籍・ビデオ案内
 

部落解放研究177号(2007.08)

「長吏文書」の研究から
年間定期購読(6,000円+税)をご希望の方は、「お名前」「ご所属」「送付先」、「何号から」「月何冊ご希望か」を明記の上、こちらまで

執筆者一覧

藪田 貫 (やぶた・ゆたか)  関西大学文学部教授
松永 友和 (まつなが・ともかず)  関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程
小野田一幸 (おのだ・かずゆき)  神戸市立博物館学芸員
在間 秀和 (ざいま・ひでかず)  弁護士
本多 和明 (ほんだ・かずあき)  部落解放・人権研究所職員
木村 和美 (きむら・かずみ)  大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程
黒川みどり (くろかわ・みどり)  静岡大学教育学部教授

編集後記

 今年の歴史特集号は前近代特集にあたり、二〇〇二年度から五年以上をかけて翻刻・編集作業が行われ、年内の発刊を目標に目下、校正作業が進められている『長吏文書』を取り上げた。

 藪田論文は、神戸市立博物館所蔵藤木文書中に、すでに廃棄されているはずの「長吏文書」が含まれており、その全貌は『悲田院文書』をはるかに上回る規模であることを発見し、阪神大震災による中断を経て今日の翻刻・公刊に至る経緯を、研究の新たな展開への期待をこめて述べる。この『長吏文書』に収録予定の新史料を使った二論文のうち、松永論文は、大坂非人に関する研究史を三期に分けて概観し、盗賊方御用における惣代との関わり、他国・遠国御用の実態、非人による風聞探索、野非人取締り等の治安維持のための番株・番役の実態を描き出し、いくつかの新事実を明らかにする。

 小野田論文は、四ケ所長吏・小頭の統括下にありながら、近世大坂の非人研究では取り上げられてこなかった非人組織である十三組に注目し、その起源、実態、また四ケ所側の「差別の意識」をも含む四ケ所との関係について述べる。

 個別論文としては、在日コリアンの無年金問題を、日本の戦後補償問題と位置づけて初めて司法に問い、現在は、最高裁に舞台を移している訴訟について考察する在間論文、松本治一郎記念会館旧蔵資料からは、松本の呼びかけで設立されたアジア民族親善協会の「アジア宣言(草案)」を紹介した。さらに、「部落史関係文献目録」は、今回初めて若手研究者の廣岡さん・藤原さんに協力を得た。 (K)