当研究所の調査研究活動に携わる研究者・会員が問題意識や研究成果を共有する試みとして昨年から始めた「部落解放・人権研究者会議」が、今号の特集テーマである。遠方在住などで研究所の日常的な活動や今会議へのご参加が難しい方々にも、研究所の「今」に触れていただく機会にしたい、と考えている。
上杉論文は、市民啓発のみならず職場研修を含めて、心がけの問題、参加型や人権問題学習に傾斜しがちな最近の人権啓発について、成人教育、権利教育、まちづくり活動、リーダー研修などの側面から展望する。桂論文は、文科省の提唱するキャリア教育に対し、人権・同和教育による学習権保障の蓄積から、ニートやフリーターなど、社会的に不利な層にとっての生きる力・学ぶ力・働く力=社会的自立力の育成を提唱する。李論文は、収集した521誌の2005年度CSR報告書にみられる各企業の人権の取り組み状況について、独自のチェック項目にに照らした全体の傾向と個別の特徴的な記述内容から紹介する。
個別論文では、2006年度大阪府学力調査から格差拡大の実態と格差縮小に作用する要因を明らかにする米川論文、2005年度の大阪府民人権意識調査の結果について、独自の尺度を用いて分析する時岡論文を収録した。(K)
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