- 2008年9月6日 信濃毎日新聞 長野 同和問題 県民の意識「後退」 県の調査 消極的回答増える
2008年6月、県が長野県内在住者3000人に「人権に関する県民意識調査」用紙を郵送し、1519人から回答(回収率50.6%)を得ました。その速報結果が県人権政策審議会で発表されましたが、2001年の前回調査より部落問題に関する意識が後退していることが明らかになりました。
具体的には「同和問題を解決するには」の問いに対し、「自分の問題として解決に努力する」29.6%(前回より5.5ポイント低下)、「差別はなくならない」13.7%(4ポイント増加)、「よく考えていない」12.0%(3.1ポイント増加)、「そっとしておく」25.7%(5.2ポイント低下)と、消極的・無関心と思われる回答が増えたのです。
背景には、第1に、2002年3月末に失効した「特別措置法」以降、特別行政から一般行政への移行が長野県でも進んだが、「適切な同和教育、同和行政」が一般行政の中で実施されてこなかったこと、第2に、1700万人をこす非正社員をはじめとした低所得・不安定層の急増の中、人権意識全般が後退していること(「人権侵害が増加」「日本経済新聞」2007年8月26日)、が考えられます。
また「そっとしておく」25.7%という結果も、非常に気になる点です。1980年代以降今日まで、大阪府・大阪市・堺市・北九州市・名古屋市などの自治体で定期的に意識調査が実施されてきていますが、どの自治体の調査結果をみても、この30年間近く「そっとしておく」という考え方は約2~4割を占めています(部落解放・人権研究所『部落解放・人権研究報告書No.10 部落問題に関する意識の変遷と啓発の課題』2008年3月)。
長野県や各自治体においては一定、教育啓発活動が実施されてきたわけですから、その手法と内容の再検討が必要と言えます。
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