(目的)
第1条 この条例は、同和地区に居住していること又は居住していたことを理由になされる結婚差別、就職差別等の差別事象(以下「部落差別事象」という。)を引き起こすおそれのある調査、報告等の行為の規制等に関し必要な事項を定めることにより、部落差別事象の発生を防止し、もって府民の基本的人権の擁護に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)同和地区 歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域をいう。
(2)興信所・探偵社業 府の区域内において、他人の依頼を受けて、個人調査、法人調査その他いかなる名目の調査であるかを問わず、特定の個人についてその信用、資産、経歴、素行その他の個人に関する事項を調査し、かつ、報告する営業をいう。
(3)興信所・探偵社業者 興信所・探偵社業を営む者をいう。
(府、興信所・探偵社業者及び府民の責務)
第3条 府は、国及び市町村と協力して、第1条の目的を達成するために必要な啓発に努めるものとする。
2 興信所・探偵社業者は、その営業について、社会的責任を自覚し、第1条の目的に反する行為をしないよう努めなければならない。
3 府民は、第1条の目的に反する調査又は調査の依頼をしないよう努めなければならない。
(適用上の注意)
第4条 この条例の適用に当たっては、興信所・探偵社業者及び府民の自由と権利を不当に侵害するようなことがあってはならない。
(自主規制)
第5条 興信所・探偵社業者の組織する団体は、その構成員である興信所・探偵社業者に次に掲げる事項を遵守させるため必要な規約を設定するよう努めなければならない。
(1)特定の個人又は親族の現在又は過去の居住地が、同和地区にあるかないかについて調査し、又は報告しないこと。
(2)同和地区の所在地の一覧表等の提供及び特定の場所又は地域が同和地区にあることの教示をしないこと。
2 興信所・探偵社業者の組織する団体は、その構成員である興信所・探偵社業者に前項の規約を遵守させるため必要な指導を行うよう努めなければならない。
3 興信所・探偵社業者の組織する団体は、第1項の規約を設定したときは、速やかに、当該規約の内容その他の規則で定める事項を知事に届け出なければならない。その届出に係る事項を変更し、又はその届出に係る規約を廃止したときも、同様とする。
(届出)
第6条 興信所・探偵社業を営もうとする者は、あらかじめ、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。
(1)氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2)営業所の名称及び所在地
2 前項の規定による届出をした興信所・探偵社業者は、同項各号に掲げる事項に変更を生じたとき、又はその営業を廃止したときは、その日から10日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。
(遵守事項)
第7条 興信所・探偵社業者は、その営業に関し、第5条第1項各号に掲げる事項を遵守しなければならない。
2 興信所・探偵社業者は、その営業に関し従業者に第5条第1項各号に掲げる事項を遵守させるため必要な指導及び監督を行わなければならない。
(帳簿等の備付け)
第8条 興信所・探偵社業者は規則で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する帳簿及び従業者名簿を備え、規則で定める事項を記載しなければならない。
(指示、営業停止及び聴聞)
第9条 知事は、興信所・探偵社業者が第7条第1項の規定に違反したときは、当該興信所・探偵社業者に対し必要な指示をすることができる。
2 知事は、興信所・探偵社業者が前項の指示に従わないときは、当該興信所・探偵社業者に対し、1月を超えない範囲内で期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
3 知事は、前項の規定による処分をしようとするときは、大阪府行政手続条例(平成7年大阪府条例第2号)第13条第1項の規定による意見陳述のための区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
(指導及び助言)
第10条 知事は、興信所・探偵社業者の組織する団体に対し第5条第1項の規約の設定について、興信所・探偵社業者に対し第7条第2項の指導及び監督について必要な指導及び助言をすることができる。
(報告の徴収等)
第11条 知事は、第7条の規定の実施に必要な限度において、興信所・探偵社業者に対しその営業に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、興信所・探偵社業者の営業所に立ち入り、帳簿及び書類の検査をさせ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
(規則への委任)
第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(罰則)
第13条 第9条第2項の規定による命令に違反した者は、3月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
第14条 第11条第1項の報告若しくは資料の提出をせず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出についての虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による検査若しくは質問を正当な理由なく拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、3万円以下の罰金に処する。
第15条 次の各号の一に該当する者は、科料に処する。
(1)第6条第1項の規定に違反してあらかじめ届出をせず、又は同条第2項の規定に違反して変更若しくは廃止の日から10日以内に届出をしなかった者
(2)第8条の規定に違反した者
(両罰規定)
第16条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑又は科料刑を科する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、昭和60年10月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、現に興信所・探偵社業を営んでいる者に関する第6条第1項の規定の適用については、同項中「あらかじめ」とあるのは、「昭和60年11月30日までに」とする。
附則(平成4年条例第3号)
この条例は、平成4年4月1日から施行する。
附則(平成7年条例第3号)
この条例は、平成7年10月1日から施行する。
大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例 施行規則
昭和60年8月2日 大阪府規則第52号
(趣旨)
第1条 この規則は、大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例(昭和60年大阪府条例第2号。以下「条例」という。)の施行に関し必要な事項を定めるものとする。
(自主規制の規約に係る届出事項)
第2条 条例第5条第3項の規則で定める事項は、次に掲げる事項とする。
(1)名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名
(2)構成員である興信所・探偵社業者の氏名(法人にあっては、名称及び代表者の氏名)及び住所
(3)条例第5条第1項の規約(以下「自主規制の規約」という。)の内容及び実施年月日
(自主規制の規約に係る届出)
第3条 条例第5条第3項の規定による届出は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める書類を提出することにより行わなければならない。
(1)自主規制の規約を設定した場合 自主規制の規約設定届出書(様式第1号)
(2)自主規制の規約の設定の届出に係る事項に変更を生じた場合 自主規制の規約変更届出書(様式第2号)
(3)自主規制の規約を廃止した場合 自主規制の規約廃止届出書(様式第3号)
(興信所・探偵社業に係る届出)
第4条 条例第6条第1項の規定による届出は、興信所・探偵社業届出書(様式第4号)を提出することにより行わなければならない。
2 条例第6条第2項の規定による届出は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める書類を提出することにより行わなければならない。
(1)興信所・探偵社業の届出に係る事項に変更を生じた場合 興信所・探偵社業変更届出書(様式第5号)
(2)興信所・探偵社業を廃止した場合 興信所・探偵社業廃止届出書(様式第6号)
(興信所・探偵社業届出済証)
第5条 知事は、条例第6条第1項の規定による届出を受理したときは、興信所・探偵社業届出済証(様式第7号)を交付する。
2 条例第6条第1項の規定による届出をした興信所・探偵業者は、その営業を廃止したときは、速やかに、興信所・探偵社業届出済証を知事に返納しなければならない。
(帳簿等の保存期間等)
第6条 条例第8条の営業に関する帳簿は、結婚、就職等個人調査記録簿(様式第8号)とし、同条の従業者名簿は、従業者名簿(様式第9号)とする。
2 興信所・探偵社業者は、結婚、就職等個人調査記録簿を最終の記載をした日から1年間保存しなければならない。
3 興信所・探偵業者は、従業員名簿を従業者が退職した場合においてもその日から1年間保存しなければならない。
(帳簿等の記載事項)
第7条 条例第8条の規則で定める事項は、次の各号に掲げる書類の区分に応じ、当該各号に定める事項とする。
(1)結婚、就職等個人調査記録簿 調査の依頼を受けた年月日、調査の依頼の概要、報告をした年月日、報告の概要及び調査担当者の氏名
(2)従業者名簿 氏名、住所、性別、生年月日、採用年月日及び退職年月日
(身分証明書)
第8条 条例第11条第2項の証明書は、身分証明書(様式第10号)とする。
附則
この規則は、昭和60年10月1日から施行する。
附則
この規則は、平成8年4月1日から施行する。