◆条例制定の趣旨
21世紀は人権の世紀と言われており、国際社会においては世界人権宣言や国際人権規約など数多くの人権に関する条約が採択されているところであり、国内においても「人権擁護施策推進法」や「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定され、国内外において人権尊重の機運が高まっている。
本市においても、これまで人権を尊重するまちづくりに努めてきたところであるが、今後とも市民とともに、すべての人の人権が尊重される社会をめざして、人権に関する施策の総合的な推進を図るため、条例を制定するものである。
(前 文)
私たちは、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とうたう世界人権宣言の趣旨及び基本的人権の享有と法の下の平等を定めた日本国憲法の理念に基づき、一人ひとりの人権が尊重される社会づくりに取り組んできた。
しかしながら、今日もなお、社会的身分、人種、民族、性別、障害のあること等により人権が侵害されている現実がある。
すべての人の人権が尊重されるためには、私たち一人ひとりが人権を行使するに当たり、自らが社会の構成員としての責任を自覚し、あたたかい心でまじわり、人間愛をもってお互いの人権を尊重するということが大切である。
私たちは、ここに、より一層、人権が尊重され、共に認め合い、幸せに暮らせる社会づくりに取り組んでいくことを決意し、この条例を制定する。
21世紀は人権の世紀と言われている。国際社会においては二度にわたる大戦の反省から、国連の主導のもと、世界人権宣言や国際人権規約、人種差別撤廃条約など数多くの人権に関する条約が採択され、人権尊重及び差別の撤廃に向けて取り組みが行われている。
一方、国内においては日本国憲法(第11条)で基本的人権の享有がうたわれているものの、同和問題や在日外国人、女性、障害者等に関する人権問題が多く存在しており、人権に視点を置いた行政を推進するため人権擁護施策推進法や人権教育及び人権啓発の推進に関する法律が制定されたところである。
本市においても、こうした国内外における人権尊重の機運の高まりの中で、人権施策の総合的な実施に向け、組織体制を整備するなど人権尊重のまちづくりに努めてきたところである。さらに、この人権尊重の精神は、総合計画の基本理念のひとつである「人権が尊重され共生の心があふれる人間都市づくり」として引き継がれています。
人権はすべての人に保障されている権利である。自分の人権を主張するあまり、他人の人権を侵害することのないよう、市民一人ひとりが社会の構成員であることを自覚し、相互の違いを認め合い、お互いの人権を尊重することが大切である。
人権尊重の実現は、私たち一人ひとりの普遍的課題であることを確認し、今後ともすべての人の人権が尊重される社会づくりに取り組んでいくことを決意し、本条例を制定するところである。
なお、本条例は人権尊重の社会づくりにあたっての目標と理念を明らかにしたものである。
(目 的)
第1条 この条例は、人権尊重の社会づくりを進めるに当たっての、市と市民の役割を明らかにするとともに、人権に関する施策の総合的な推進を図り、もってすべての人の人権が尊重される社会の実現をめざすことを目的とする。
本条例の目的は、市内で生活するすべての人の人権が尊重される社会の実現にある。そのためには本市と市内に暮らすすべての市民(日本国籍や住民登録の有無とを問わず、また、自然人及び法人を含めたもの)が密接な連携のもとに人権に関する施策(人権意識の高揚を図る施策及び人権擁護に資する施策)をより一層、総合的に推進する必要があるとの考えを明らかにしたものである。
(市の役割)
第2条 市は、前条の目的を達成するため、あらゆる施策の実施に当たり、人権尊重の視点を踏まえるとともに、人権に関する必要な施策を推進するものとする。
人権尊重の社会づくりに果たす市の役割は重要なことから、庁内すべての部局が現在実施している施策や日常業務を人権の視点で見直すとともに、情報を共有し、相互に連携、協力しながら人権に関する必要な施策((1)人権教育、人権啓発に関する施策 (2)人権に関する情報の収集及び提供 (3)人権相談事業等で本市が実施主体となるもの等)を総合的に推進することを明らかにしたものである。
(市民の役割)
第3条 市民は、家庭、地域、学校、職場等あらゆる場において互いに人権を尊重し、市とともに自らがまちづくりの担い手として、人権尊重の社会の実現に努めるものとする。
人権が尊重される社会づくりの実現を図るためには、市民一人ひとりが、家庭、地域、学校、職場など日常生活の中で主体的に人権意識を高め、お互いの人権を尊重していくことが重要であることを明らかにしたものである。
(推進体制の充実)
第4条 市は、市民、事業者、公共的団体及び関係行政機関等と連携を図りながら、人権尊重の社会づくりを推進する体制の充実に努める。
市が主体となって、市民、事業者、公共的団体(自治振興委員会や人権啓発推進協議会など)及び関係行政機関等(国や大阪府など)と相互に連携を図り、人権尊重の社会づくりを推進する体制の充実に努めることを明らかにしたものである。
(人権尊重の社会づくり審議会)?
第5条 人権尊重の社会づくりに関する事項について意見を聴くため、八尾市人権尊重の社会づくり審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、委員20人以内をもって組織する。
3 委員は、学識経験者その他市長が適当と認める者のうちから市長が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
本条で規定する審議会は、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づく執行機関(市長)の付属機関で、同法第202条の3の規定により担当する事項について審議等を行う機関としての位置づけであり、人権尊重の社会づくりを推進するための重要事項について、幅広く専門的な見地から意見を聴くため設置するものである。