前文
すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳および権利について平等である。
すなわち、私たち一人ひとりは、様々な個性をもったかけがえのない存在であり、社会的身分、門地、人種、民族、信条、性別、年齢、障害、疾病等により人権の享有を妨げられることなく、個人として尊重されなければならない。そして一人ひとりの多様性が認められ、それぞれのもつあらゆる可能性が発揮される機会が与えられなくてはならない。
同時に、私たちはこのような自由と権利を行使するに際しては、他者の自由や権利を認め合い、相互に尊重しなければならないという義務を負っている。
こうした認識に基づいて、現在および将来の世代に渡り、豊かな自然に恵まれ環境を大切にする滋賀に、人間としての尊厳が保障され、すべての人の人権が尊重される社会をつくりあげることは、私たちみんなの願いであり、また責務である。
私たち滋賀県民は、21世紀の初頭に当たり、人権が尊重される社会づくりを進めるために不断の努力を続けていくを決意し、この条例を制定する。
第1 目的
この条例は、人権が尊重される社会づくりに関し、県、県民および事業者の責務を明らかにするとともに、人権が尊重される社会づくりを推進するための基本となる事項を定めることにより、すべての人権が尊重される豊かな社会の実現に寄与することを目的とすること。
第2 県の責務
1 県は、第1の目的を達成するため、人権意識の高揚を図るための施策その他の人権が尊重される社会づくりに関する施策(以下「人権施策」という。)を積極的に推進するものとすること。
2 県は、人権施策の推進に当たっては、国および市町村との適切な役割を分担を踏まえて、これを行うとともに、必要な調整に努めるものとすること。
第3 県民および事業者の責務
県民および事業者は、自ら人権意識の高揚に努めるとともに、家庭、地域、学校、職域その他の社会のあらゆる分野において、人権が尊重される社会づくりに寄与するように努めなければならないこと。
第4 人権施策基本方針
1 知事は、人権施策の総合的な推進を図るための基本となる方針(以下「人権施策基本方針」という。)を定めるものとすること。
2 人権施策基本方針には、次に揚げる事項を定めるものとすること。
(1)人権が尊重される社会づくりの基本理念
(2)人権意識の高揚を図るための施策に関すること。
(3)相談支援体制の整備に関すること。
(4)人権問題における分野ごとの施策に関すること。
(5)その他人権施策を推進するために必要な事項
3 知事は、人権施策基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ滋賀県人権施策推進審議会の意見を聴くものとすること。
4 知事は、人権施策基本方針を定めるときは、これを公表するものとすること。
5 前2項の規定は、人権施策基本方針を変更する場合について準用すること。
6 知事は、人権施策基本方針に関する施策の実施状況について、毎年度、滋賀県人権施策推進審議会に報告するものとすること。
第5 人権施策基本方針との整合
県は、県行政のあらゆる分野における施策の策定および実施に当たっては、人権施策基本方針との整合に努めるものとすること。
第6 滋賀県人権施策推進審議会の設置
1 地方自治方(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、知事の付属機関として、滋賀県人権施策推進審議会(以下「審議会」という)を設置すること。
2 審議会は、人権施策基本方針に関する事項を調査審議するほか、知事の諮問に応じ、人権が尊重される社会づくりに関する事項について調査審議すること。
3 審議会は、人権が尊重される社会づくりに関する事項に関し、知事に意見を述べるこができること。
第7 審議会の組織等
1 審議会は、委員18人以内で組織すること。
2 委員は、人権に関し学識経験を有する者および県民から公募した者のうちから知事が任命すること。
3 委員の任期は、2年とすること。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とすること。
4 委員は、再任されることを妨げないこと。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないこと。その職を退いた後も、同様とすること。
6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定めること。
付 則
第1 施行期日
この条例は、平成13年4月1日から施行すること。
第2 関係条例の改正
滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号)の一部を次のように改正すること。
第1条中第19号の10を第19号の11とし、第19号の9を第19号の10とし、第19号の8を第19号の9とし、第19号の7の次に次の1号を加える。