人権は、人間の尊厳に由来する固有の権利である。
人権尊重を基本原理とする日本国憲法の下に、人種、信条、性別、社会的身分、門地等による不当な差別その他の人権侵害が行われることなく、すべての人々が人権を享有し、自律した存在としてそれぞれの幸福を最大限に追求することができる平和で豊かな社会の実現は、県民すべての願いである。
また、ふるさと栃木県が、国際化、情報化、高齢化をはじめとする社会情勢の変化に的確に対応しつつ、真に調和のとれた平和で豊かな地域社会として、今後とも活力ある発展を続けていくためにも、私たち一人一人が、自分の人権のみならず他人の人権についても正しい理解を持つとともに、権利の行使に伴う責任を自覚し、人権を相互に尊重し合い、人権の共存を図っていくことが不可欠である。
ここに、私たちは、基本的人権を保障した日本国憲法の精神に従い、すべての県民の人権が尊重され、人権の共存が図られる人権尊重の社会づくりにたゆまぬ努力を傾けていくことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、人権尊重の社会づくりに関し、県及び県民の責務を明らかにするとともに、人権尊重の社会づくりに関する施策の基本となる事項を定めることにより、人権尊重の社会づくりを総合的に推進し、もってすべての県民の人権が尊重され、相互に共存し得る平和で豊かな社会の実現に寄与することを目的とする。
(県の責務)
第2条 県は、前条の目的を達成するため、人権尊重の社会づくりに関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、人権尊重の社会づくりに関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、国及び市町村と緊密な連携を図るように努めなければならない。
(県民の責務)
第3条 県民は、相互に人権を尊重しなければならない。
2 県民は、家庭、地域、学校、職域その他の様々な場において、人権尊重の理念に対する理解を深め、人権意識の高揚に自ら努めるとともに、県が実施する人権尊重の社会づくりに関する施策に協力するように努めなければならない。
(県と市町村との協力)
第4条 県及び市町村は、それぞれが実施する人権尊重の社会づくりに関する施策に関し、相互に協力するものとする。
(施策の基本方針)
第5条 知事は、人権尊重の社会づくりの総合的な推進を図るため、人権尊重の社会づくりに関する施策の基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 人権尊重の社会づくりに関する基本的方向
(2) 人権意識の高揚を図るための施策に関する基本的事項
(3) 人権に関する課題ごとの施策に関する基本的事項
(4) 前3号に掲げるもののほか、人権尊重の社会づくりのための重要事項
3 知事は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、栃木県人権施策推進審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。
(栃木県人権施策推進審議会)
第6条 前条第3項(同条第5項において準用する場合を含む。)の規定によりその権限に属させられた事務を処理し、及び知事の諮問に応じ、人権尊重の社会づくりに関する重要事項を調査審議するため、栃木県人権施策推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、前項に規定するもののほか、人権尊重の社会づくりに関し必要と認められる事項について、知事に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員25人以内で組織する。
4 委員は、学識経験を有する者、県議会の議員、市町村の長及び関係行政機関の職員のうちから、知事が任命する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、再任されることができる。
7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
1 この条例は、平成15年4月1日から施行する。
2 省略