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2009.03.13

日本の部落差別

歴史1  近世から近代へ

いまから400年前にはじまった徳川幕藩時代(1603年~1867年)では強固な身分制度が敷かれ、「賤民」身分の「えた」「非人」身分などにはそれぞれの役目が決められていました。「えた」身分の人たちには死牛馬の処理や皮革業への従事、末端の警護役、掃除役などが課せられました。「非人」身分の人たちは同じく警護役、行刑役などの役のほか、芸能で生活をしていたといわれています。こうした「賤民」身分は近代化革命といわれる明治維新がおきた19世紀後半に「解放令」が出されるまで続いたのです。しかし、近代化によって到来した法的な解消策は不完全であり、しかも日本の近代化は天皇を頂点とした新たな身分秩序を社会の基本としました。血縁がそれまでの社会と同様に重んじられ、貧困に追いやられた被差別部落民への偏見は強くなる事態を生み、就職差別、結婚差別、軍隊内や学校での差別など数限りない差別を受けることになります。これに対して1922年に被差別部落民自身による解放運動「全国水平社」が創立され、「人間を尊敬する事によって自ら解放せんとする」と人間の尊厳を高らかに宣言した人権宣言「水平社宣言」をかかげて、日本の人権運動を牽引することになったのです。

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