【京都支局】
「部落民は仕事もできんのに市役所に入っている」など、綾部市の元総務部長による差別発言事件の事実確認会を2006年5月11日、綾部会館でひらき、差別発言をおこなったC元総務部長は「38年間で相当な数の研修を受け、知識としては理解していたが、差別意識があったんだろうと思う」とのべた。
事件の概要
2006年1月26日の午後9時30分ごろ、福知山市の職員Bがお好み焼き屋に立ち寄ったところ、顔見知りのCと会う。Cはかなり酔っていた。そこへ同じく市職員のAが入店。
その後の話しのなかで、Cは2年前まで綾部市の総務部長をしていたことなどを話し、<1>「部落民は仕事もできんのに市役所に入っている」<2>「自分が総務部長をしている間に50人も辞めさせた」<3>「部落民は別の部屋でカギをかけ、人が入れんようにして、仕事もせん」などと話した、というもの。
差別意識を認める
事実確認会には、綾部地協を中心に同盟員ら40人が参加、C元総務部長をはじめ綾部市長、福知山市助役らが出席した。
府連副委員長が、「事実確認会に出席してよかった、という結果にしたい」とあいさつ。綾部市長は、「みなさん方に憤りがあるのは当然。任命権者として不明を恥じいる。悲しさもある。具体的に何をするかを明確にし、人権確立への責務をはたす」とのべた。
Cは、Bと出会った記憶はあるが、話した内容は覚えていない、とのべたが、「福知山市の職員2人がいっているのでまちがいなかろう」とのべた。
また、差別発言という認識は<1>と<3>で、「部落民という蔑称をつかった。個人のことをいっているのに部落民という同和地区全体を指す発言をしたから」とのべ、<1>は「該当がない」<3>は1人いて、担当課長や部長が説得したが改まらず、自分が「このままいけば退職金もパーになる。勤務にもどれないか話しをした」と答えた。
会場から、「部落民」ということばは差別ではなく、使いかたによる、と指摘。さらに「記憶にない」を免罪符にしないで、と注意した。また、意識がなければことばは出ないと指摘すると、Cは「自分の意識のどこかにこういう意識があるから、ことばに出たと思う」とのべ、その差別意識の形成過程を、綾部市に入って同和地区を知り、支部交渉では深夜まで帰れなかった、机をたたかれ大きな声で怒られた、「おまえみたいなものはクビにしてやる」といわれた、などとのべた。そしてCは、「研修は、38年間で相当な数をうけ、知識としては理解していたが、差別意識があったんだろうと思う」とのべた。
最後に、野口副委員長が「ようやく向き合えるようになった。もう1回、文章化を」とのべた。
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