【和歌山支局】
社員研修で「エタ・非人」など賤称語をつかって業務成績をあげようとした「(株)R社内研修における差別糾弾会」を2006年5月29日、橋本市教育文化会館でひらき、差別の事実やその背景を明らかにし、参加者全員で事件の全容を確認した。
しかし、親会社の(株)Hが「今後は弁護士を通じておこなう」との姿勢を明らかにしたことから、県連糾弾闘争本部は2006年6月6日にH社の代理人(弁護士)と会い、「R社については地域でとりくむ」という意思を伝えるとともに、中央本部がHグループへのとりくみを申し入れた。
事件の概要
和歌山県と橋本市が誘致した企業のHグループ・(株)R社が、2005年11月24日、社員研修で業績成績のランクづけに、賤称語を使っていたことが明らかになった。
内容は、業務成績をあらわす数字の横に「農民」「小作農民」「エタ・非人」などの表記とともに「農民の生活もできない最下層」「人間じゃない何か」などの注釈をつけ、差別を利用して社員に業務成績をあげさせるための研修をおこなったもの。同社は、昨年5月から橋本市内で業務をおこなっている。
業績向上に差別を
R社差別事件は、これまで2度の確認会をひらいたが、研修をおこなった本人の差別性と会社全体の人権意識のなさが浮き彫りとなった。
とくに「研修資料に書いた賤称語であるエタ・非人を、どういうつもりで書いたのか」との問いに、「身分制度をおもしろおかしく表現した」と答えるなど、本人の差別意識が明らかとなった。
また、会社側もチェックしてないばかりか、何が差別なのかまったく理解できない状況であり、さらに、親会社であるHは、多くのグループ会社を統括しているにもかかわらず、人権・同和研修にとりくんでいないことも明らかとなった。
2006年5月29日にひらいた糾弾会では、その差別者本人は事実を認め「これからは差別する側ではなく(差別を)なくしていくとりくみをしていきたい」という決意をあきらかにした。R社とH社からも「人権研修を積極的にとりくむ」と確認がされた。しかし、「H社は、今後の連絡(やり取り)は弁護士を通じておこなう」という文書をR社の代表が読みあげ、会場内は騒然となった。これは、Hグループが「みずからが起こした差別事件」であるにもかかわらず、社会的責任を明確にすることなく、確認会や糾弾会を「苦情処理」と判断したような対応といえる。
糾弾会には、県連をはじめ共闘会議や人権行政確立要求県実行委員会の各団体、橋本市をはじめ県・市町村行政から多数が参加。
あらためて「差別事件の真実」「差別者本人と会社全体の差別意識」、差別を生み出す要因をつくった「人権を無視した会社組織」を確認した。
今後、Hにたいしては、中央本部と連携し、継続して糾弾会をおこなうことを確認した。R社にたいしては、県、橋本市行政が積極的にとりくみをすすめることを確認して糾弾会を終えた。
糾弾会の継続へ
県連糾弾闘争本部は、2006年6月6日、Hの代理人と会い、「Hグループに関わるとりくみは、代理人を通すとあるが、R社については地域でとりくむ」という意思を伝えるとともに、中央本部がHおよびグループへのとりくみを申し入れた。
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