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2006.11.16
講師の俳優が部落・女性差別発言

差別事件を考える学習会で見解をまとめ

2006年10月23日 第2291号

【滋賀支局】差別事件を考える学習会実行委員会主催による「あいの土山文化ホール教養講座での講師差別発言事件」と「甲賀広域行政組合事務局長による差別発言事件」の2事件を取りあげた「差別事件を考える学習会」が2006年9月4日、甲賀市あいの土山文化ホールでひらかれ、588人が参加。

 学習会は関係行政や県連の報告、見解、まとめがおこなわれた。また「差別事件を考える」をテーマに中央本部の谷元書記次長の講演がおこなわれた。ここでは、差別発言事件から5年目にしてようやく講師で俳優のTが反省文書を寄せた「あいの土山文化ホール教養講座での講師差別発言事件」を取りあげる。


教養講座シリーズでの講師差別発言概要

2001年9月4日、あいの土山文化ホール教養講座シリーズで講師の俳優Tが講演(題・・・おとなの文化・こどもの文化-出会いに学ぶ-)のなかで、つぎのような差別発言をおこなったもの。提起者は旧・土山町(現・甲賀市)教育長だった。
発言<1>私は母親に溺愛されていたが、兄貴(N)はあまり可愛がられていなかった。そのため近所の家へ遊びに行くと兄貴はお菓子をもらったが、私はもらえなかった。(略)兄貴は家で差別され、自分は外で差別された。『同和が聞いたら怒る』。
発言<2>芸能界の実情にふれて「芸能人は組合などの組織がない」『暴力団、右翼、日教組、同和、共産党、朝鮮総連等は組織があり集団でくると怖いです』。
発言<3>『男女共同参画というが、女性が男性のように仕事をすることは間違っている』。女性はおんならしく家庭に入り子どもを愛し育て、男は仕事を一生懸命にする、昔はみんなそうであった。だから母親の愛情に飢え、低年齢の犯罪が増える。

甲賀市が見解

 学習会では、今井恵之助・実行委員長(甲賀市同和対策本部長・助役)の開会あいさつを受け、ただちに「あいの土山文化ホール教養講座シリーズでの講師・T差別発言事件」(別項)について、福井喜伸・甲賀市人権政策課長から報告と甲賀市の見解をつぎのようにのべた。

 発言<1>は、兄弟間の差別とまったく性格が違うにもかかわらず、無理やり同和につないで、部落にたいする「こわい意識」をイメージする予断と偏見による部落差別発言である。

 発言<2>は、反社会的団体(組織)「暴力団」などと、民主的な組織「日教組、同和、共産党、朝鮮総連など」を怖い意識のなかで同列化するものであり、社会的に認知された団体にたいする誹謗と偽りの差別発言である。

 発言<3>も、男女について古い固定観念にとらわれ、男女共同参画に無知で時代に逆行した差別発言である。そして、発言の確認を含めTと講師として紹介した?パートナーシステムにたいしてたび重なり抗議をしてきた、と報告した。

 県連は、事実確認などが困難な状況のなかで5年という年月を粘り強くとりくんだ関係行政や地元の解放同盟に敬意を表しながら、2重の部落差別発言は「たまたま」「ついうっかり」発言ではなく確信的継続的発言であり、発言<3>は典型的な男女の役割分担を固定化した女性差別発言であると指摘。今後の課題として、<1>糾弾闘争をはじめ部落解放運動の歴史や現状を正しく認識し、今回の差別発言を教訓に差別撤廃に向けた積極的な活動を期待する<2>?パートナーシステムの責任は重大であり、人権学習からやり直し、企業としての社会的責任を<3>行政は講師の事前チェック、などを提起した。