【長野】
望月町(現、佐久市)の人権推進室の窓口で、S不動産会社社員が住宅地図を示し、「部落を地図上で示して欲しい」と調査に訪れた差別事件の糾弾集会が11月28日、佐久市中央隣保館でおこない、S社のA社員とB代表には誠意ある学びと自己変革を、行政には人権啓発の推進強化を求め、この部落所在地調査事件の区切りとした。
事件の概要
事件は05年3月、望月町役場の人権推進室(当時)の窓口に、佐久市のS不動産会社のA社員が、望月町内の住宅地図のコピーを示し、「「部落」「同和」地区を地図上で示してほしい」と求めたもの。
対応した職員が、「なぜ必要なのか」と問うと、「競売の情報として必要」と答えた。役場から、部落解放同盟佐久地協や法務局に報告され、事件が明らかになった。
誠意ある学びと啓発の強化を
この糾弾集会には、差別調査に訪れたAさんと照会を指示した兄の不動産会社B代表が参加。ほかに佐久市の助役や教育長、関係部課長ら12人が出席した。部落解放同盟からは、星沢重幸、西藤千代子の両県連副委員長と山崎茂・県連書記長のほか、地元協議会から25人が参加し、今回の糾弾集会で事件の一応の区切りとした(本紙2245号、2285号既報)。
県連書記長は、「本件は、全国的な調査事件の流れのひとつ」と指摘、「不動産価格も低く売買の対象になっていなかったが、混住化の進行のなかで注目されてきた。直接不動産売買にともなう調査ではなかったといっているが、明らかに土地にたいする差別であり、調べることは仕事として、当たり前的な感覚になっていた」と事件の背景をのべ、不動産業者としてまた、市の民生・児童委員としても同和研修や行政の研修にも参加していなかった事実も事件の背景にはあると指摘した。
S不動産会社の2人にたいしては、部落問題にたいする認識の不十分さを指摘するとともに、今後とも積極的に研修に参加し、誠意ある学びと自己変革に努めて欲しい。そして、業界にたいしても積極的に問題提起をしてほしいと提起した。
行政にたいしては、「事業法」失効後もいぜんとして差別事件が多発している実態を指摘。今回の事件は、同和地区照会の行為自体を差別調査と認識していなかったことを重視。民生・児童委員などの特定職業従事者への研修や市民啓発事業のあり方の見直しと強化。業界向けの「指針」の策定と徹底、職員研修の強化と市人権啓発推進本部の強化などを行政課題として提起した。
この糾弾集会は、3回の確認会をふまえておこなわれたもので、この差別調査事件は、2005年3月に起きた。B代表は、「この辺で(同和)地区があるかないか調べられるものなら聞いてきてほしい」と指示し、これまでの確認会では「人にいったりすること(言動)は差別だと思っていたが、調査することも差別だとは知らなかった」などと答えていた。
|