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2005.03.23
書籍・ビデオ案内
 
 変革の時代の人権政策の創造を提唱する著者は、時代のシグナルを瞬時に把握しつつ思考し行動するために人と組織のあり方、ネットワーク構築、情報感度の磨き方、企業のあり方など多面的に提案する。

変革の時代
人権システムの創造のために

北口末広 著

四六判 238ページ 並製   定価1800円+税
ISBN4-7592-1023-7 2005年6月20日発行
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もくじ

第1章変革の時代と人権

  1.  危機的財政状況と増加する社会問題
      ー財政危機が人権・福祉の危機にならないようにー

    崩壊寸前の国家財政/約一〇兆円が「利子の支払い費」
    日本国債の二段階格下げ/危機的状況の自治体財政
    人権・福祉・教育政策に悪影響/経済の悪化は人権状況の悪化へ
    先進国で衰退が始まる共通の特徴/財政破綻と政治の弱体化
    歳出削減の下でも人権政策の前進を

  2. 二一世紀はなぜ人権の世紀なのかー科学技術の進歩と人権の視点でー

    人権を尊重しないと持たない世紀/人権の世紀と遺伝子の世紀
    高度科学技術社会は高度人権保障社会/倫理的、法的、社会的な問題が表出
    科学技術の挑戦を受ける人権/人類の歴史は人権尊重の歴史
    人権の実現が究極の目的

  3. ヒトゲノム解読の先に見えるものー遺伝子差別を防止するためにー

    法的、倫理的、社会的な問題/遺伝子検査に関わる諸問題
    遺伝子解明インパクト/遺伝的体質が明確になる時代
    遺伝子操作の時代/美容整形と遺伝子操作
    アイデンテイテイーにも影響/自己認識と遺伝子検査
    企業経営にも影響を与える

  4. 時代が変わる、基準が変わるー関係性と意識・感覚の重要性ー

    変化する差別基準/5W1Hによって大きく違う人権基準
    改正均等法からセクハラを考える/関係性の視点が重要
    改正均等法・指針のセクハラ定義/女性が女性にセクハラをした場合
    セクハラの判断基準ー女性労働者の感じ方/システムが大きく変わる変革の時代

  5. 行政よりも司法重視の時代にー行政的事前規制から司法的事後規制の時代にー

    司法的事後規制の時代に/百万人の弁護士がいる米国
    日本企業の弁護士費用は米国の三〇分の一/米国の法律産業は自動車産業に匹敵
    地球規模のリーガルサービス網の構築/ネットで原告が集結
    集団訴訟と懲罰的賠償金/ドイツの権利保護保険
    間違いなく増加する訴訟

第2章クライシス(危機)をチャンスに

  1. クライシス(危機)をチャンス(好機)にー「なぜ、なぜ、なぜ」が重要ー

    新たな時代を切り開くチャンス/「なぜ?、なぜ?、なぜ?」が重要
    問題は外部だけではなく内部にも/危機意識と最優先課題
    「規制」をチャンスにした企業/環境規制をビジネスチャンスに
    「法」失効を発展のステップに/時を告げる時計を創ること
    危機とチャンスの分水嶺

  2. 変革の時代をチャンスにー現行パワーをどう活用するかー

    パワーを発揮するシステムを/時代の特徴を捉えることの重要性
    人間や組織のパワーを引き出す/人権実現のためにパワーの発揮を
    多様な部落解放運動のパワー/運動のパワーを無駄にしていないか
    複雑な社会を捉える重要性/時代の流れの積極面を活用
    目先の利害から長期的な視点を/人権時代を活かす運動パワーを

  3. 組織リバイバルの鍵は何かー「賞味期限切れ」になる前にー

    人々の支持が存立の基盤/切磋琢磨が時代を切り開く
    「賞味期限切れ」になっていないか/組織の老化現象が始まっている
    地域が元気かどうかが重要/地域が元気になれるシステムを
    組織は復活・再生が可能/目的達成に何が必要か
    本来の目的は何か/人権機関は社会の病を治す機関

  4. なぜ改革が必要なのかー現状打破の精神をー

    現状打破の精神を/急速な環境変化の中で
    変革のスピードは急速/国際環境の変化
    情報社会の急速な進展/国内環境の変化
    内部環境の変化/当面の目標の変化
    新たな課題、問題に対応して/変わるべきは組織や理論

  5. 夢やビジョンを提示しているかーパワーの源泉は夢や理想ー

    目標を共有化する重要性/夢や希望をなくしていないか
    問題は希望を持つ心を失うこと/リーダーの重要な役割
    夢やビジョンはパワーの源泉/人類の理想を郷里において
    夢やビジョンでつながるNGO/敵は武器を持って戦うが
    当面の目標・戦略を明確に/特別措置の呪縛を克服する必要

第3章人権パワー活用のために

  1. ネットワーク的発想をー外部の力を活用しようー

    方針を具体化するために/ハードルは乗り越えるためにある
    ネットワークとテコの原理/ネットワークを活用する術を
    一つの組織だけでは解決できない/結合によって強力な人権パワーを
    ネットワーク的発想とは/外部の力の活用を
    単体では大きな影響力を持てない/閉塞した人権状況を打破しよう

  2. 多様な政策委員・アドバイザーをー知恵とアイデアの貢献をー

    アウトソーシングではない/専門分野のプロの力が必要
    知的貢献はどこにいても可能/人物データベースを活用する
    多様な貢献ができるアドバイザー/人物紹介も重要な貢献
    アドバイザー制度の創設を/情勢分析も重要な貢献
    例えば企業再生では/人権相談システムの創造においても

  3. スピードを理解することの重要性−タイムリーな決断・実行をー

    事が終わってからでは遅い/先延ばしが解決を遅らせる
    スピードが求められる/政策効果に大きく影響する時期
    時宜を得たタイムリーな政策を/タイムリーな調査と政策提案
    優柔不断と慎重は違う/拙速なことは良くないが
    「時のチャンス」を逃すな

  4. 社会システムを変える発想をー新たな同和行政システムをー

    時を告げる時計を作ること/人権確立システムに
    社会システム全体を対象に/人権社会システム改革プランを
    なぜ同和地区に集中的に現れるのか/社会システムの改革・創造
    手話を学ぶシステム/関係を大きく変える社会システム
    人権相談で同和行政を推進/既存の制度やシステムを変える

  5. 人権相談の知恵と実践の活用をー人権相談ハンドブックを活用しようー

    相談現場の知恵と実践の集大成/人権相談は初期対応が重要
    解説・資料と詳細なジャンル分け/人権教育の研修教材にも有効
    研修参加者の討議を促進/具体的な場面を設定
    相談相手は身近な人々だから・・/人権相談の専門家養成を
    相談員養成の実践的教科書

第4章現実の正確な理解のために

  1. メディア・リテラシーの重要性ー人権教育の最重要課題ー

    メディア・リテラシーとは/犯人像を考える
    この記事だけで犯人が分かる/新聞記事を正確に読んでいるか
    メディアの圧倒的影響/娯楽映画の影響力
    視点や切り口が大きく違う/松本サリン事件では
    人権教育の根幹ーメディア・リテラシー/政治宣伝七つの原則

  2. 事例・事件・相談を掘り下げる重要性ー事件・相談から見えてくるものー

    事件や相談は時代を映す鏡/多種多様な社会的・歴史的背景
    対症療法的手法も重要/対症療法と根治療法を駆使
    個人情報不正入手事件の背景/なぜこの事件は発覚したのか
    事件の真相は結婚差別事件/数多くの問題点・背景が存在
    事件・分析・背景・政策の好循環を

  3. 思考の特区を創ろうー芸術的な政策を創造するためにー

    思想や理論は過剰になる/制度的規制が思考の規制へ
    思考の壁を取り除こう/多くの方法・手段がある
    思考特区を創る重要性/画期的なアイデアが生まれる変革期
    自身の思考パターンの現実を自覚する/ジャンケンに見る思考回路
    「思考の落とし穴」を避ける/ワンパターンの発想を克服しよう

  4. 情報感度を高めようー小さな変化を見逃すなー

    情報が全てを決する/小さな変化を見逃すな
    正確な情報を把握する重要性/隠れた情報を見つけ出す分析力
    小さな問題から大きな問題へ/予断や偏見の克服を
    推測と事実を峻別する/明確な問題意識を持つ
    情報分析力を高める/情報に振り回されるな

  5. 人権侵害事例から見えてきた課題ー被害者は多面的な社会的「弱者」ー

    社会システムをどう変えるのか/人権相談・救済機関の役割
    被害者は多面的な「弱者」/「弱者」の問題を解決しない限り
    人権侵害事象が通報・把握されない/コストの面からも未然防止を
    119番のような救済システムを/社会的「弱者」に焦点を

第5章企業に求められている課題

  1. 今、企業に何が求められているかー今日の社会情勢をふまえてー

    二一世紀・人類最大の課題は環境/企業の社会的責任(CSR)
    慈善活動ではなくビジネスの中核に/倫理貿易イニシアチブ
    環境配慮が入札条件に/ビジネスチャンスにする視点で
    自己実現欲求を重視/ドイツの百年ローン
    自立して生活できる権利/DNAの時代の企業活動

  2. 人権上のチャンスをつかみとる企業にー時代のベクトルをふまえてー

    人権問題もグローバル化/「オゾン層保護条約」の成立
    環境上のチャンスをつかみ取った企業/全米障害者法と企業
    学校にもエレベーターを/経営と業務と人権は一体
    人権を重視する企業の強み/これからの企業評価基準
    企業の存亡にかかわる人権感覚

  3. 時代のシグナルは環境回復・人権確立ー日本の課題を端的に示すマニフェストー

    政治を変えるマニフェスト/5W1Hを明確に
    政治的関心の高い市民/シグナルを見失うな
    自治体財政も危機的状況/少子高齢化がもたらすもの
    セーフティーネットの重要性/人権尊重の多民族共生社会を
    環境回復は企業利益とも一致

  4. あらゆるハラスメントをなくすためにー閉塞した時代の中でハラスメントが横行ー

    企業や組織にとってもマイナス/職場におけるハラスメント
    主観的には指導育成?/具体的相談事例から
    ハラスメントの結果生じること/企業におけるマイナス面
    ハラスメントを防止するために/明確な方針を策定すること
    問題を早期に解決するために

  5. 差別意識を助長する「エセ同和」ー「エセ同和」排除のためにー

    部落問題解決を後退させる/マイナスイメージを増幅
    運動パワーを減退させる「エセ同和」/部落解放運動とは無縁
    基本は部落問題への理解/差別に荷担する「エセ」への不透明な妥協
    初期対応と問題の正確な認識/組織的に対応し記録を残す
    脅しの内容を熟知しておく/法的対応と正当な解決を目指す