部落の所在地情報一覧を本にしたり、ネットで拡散する行為が許されるのか。 五年間にわたって争われた裁判の判決が出た。裁かれたのは「差別をされない権 利」ではなく「プライバシー(みだりに他人に知られたくない情報)権」の侵害であった。プライバシー権が問題になったことでカミングアウトしている原告や原告のいない県は権利侵害が認められなかった。なぜ当事者の声は司法に届かなかったのか。原告の声を中心に考えてみたい(編集部)
【原告から】
判決文から感じる突き放されたような冷たさ 上川多実………2
大きな不安を残した判決 高岩智江………6
「全国部落調査」復刻版裁判の判決について 吉岡あや………8
「全国部落調査」裁判を取材して 北野隆一………11
部落アウティング裁判地裁判決の意義と課題 李嘉永………15
判決後のモニタリング・削除状況と今後の課題 川口泰司………23
言葉と写真で世界をみつめる
第9回 「仕方がない」で終わらせたくはない 安田菜津紀………31
私の沖縄問題 第38回
「日本」の民主主義に希望を託した五〇年 普久原朝日………36
シリーズ マイノリティの声 第48回
うるま市の病院で発生した大規模クラスター ―その背景にある構造的差別 早坂佳之………40/高橋年男………43
識字運動の担い手たちが語る
第14回 「識字があるから元気に生きられている」 山本はつ美さん(和歌山県善明寺識字教室) 編集:森 実………48
わたしの視点―メディアの現場から
第70 回 ジェンダーは「趣味」なのか~命に関わる性差別 黒田 華………52
人権教育の実践の現場から(84)
子どもたちから学び続ける(前編) 大東市立深野小学校 井岡愛梨………54
泰司と元樹の書きたいざんまい 第3回
―「差別をしない・支えない・なくす努力を学ぶ」ということ② 松村元樹………64
連載 誰がために腹は鳴る(94) 社納葉子………66
―誰かの力を借りて人生の「物語」を紡ぎ直す
連載 走りながら考える 北口末広………70
―第246回 AI(人工知能)時代と社会及び人権Ⅴ
連載 本の道草 第95回 冠野 文………74
―右から見れば真ん中も左
連載 4コマまんが ガッツせんべい(165)多様な社会に くぼ たかし……31
物語る一枚 (40) Pirka 惠原詩乃……46
書評『虹のむこうには 為さん・大作さんの言葉―ハンセン病取材二十年の記録』 矢野宏……62
各地の行事……78
人権をめぐる動き……80