本年三月に「袴田事件」（一九六六年）の再審開始が決定した。袴田巌さんの死刑判決（一九八〇年）から四三年。二〇一四年には静岡地裁が再審開始を決定し、袴田さんの身柄の解放を命じた。しかし検察官の即時抗告により再審開始が取り消され、最高裁による高裁決定の取り消し、審理の差し戻しを経て、当初の再審決定から九年かかって今回の再審決定に至った。無罪を訴える人になぜ日本の司法は再審を認めないのか。滋賀県「日野町事件」（一九八四年）、鹿児島県「大崎事件」（一九七九年）、そして埼玉県「狭山事件」（一九六三年）。再審を求める闘いを通して明らかにされてきたこと、再審法改正をはじめとした、えん罪防止のための司法制度改革の課題について、海外の事情を照らし合わせながら考える。


いまこそ再審法の改正へ～冤罪被害者の迅速な救済のために～　　　　鴨志田祐美………２　　　　　　　　　　　　　　　　
滋賀県日野町事件
―第二次再審請求で開示された証拠によって明らかになってきたこと　　三角真理子………10
狭山事件の再審、証拠開示について
―これまでの取り組みから見えてくること　　　　　　安田 聡………15

世界で動き出す、再審（えん罪救済）改革　　　　指宿 信………21
　

言葉と写真で世界をみつめる　
第27回　立ち返るべきは「人権」
　　　　　　　　　　―入管法改正案の欺瞞　　　　　佐藤 慧………28

シリーズ　マイノリティの声　
第58回　アイヌ、ヘイトスピーチは許さない！　　多原良子………34

私の沖縄問題
第50回　ひとり芝居「ゆんたくしましょうね」で伝える沖縄戦
　　　　　―舞台で表現することの意味を考える―　　谷ノ上朋美………38

明日をかえる法人―新たな人権への取り組み
第68回　誰一人置き去りにしない教育を求めて
　　　　　　　　　　～夜間中学の諸問題を考える～
　　　　　　一般社団法人基礎教育保障研究所　理事長　城之内庸仁………42


識字運動の担い手たちが語る　
第31回　地域が支える地域の識字〔後編〕
　　　　　友永香鶴子さん（住吉輪読会・元担当者）　　編集：森 実………48

人権教育の実践の現場から（99）
わたしの原点～問いから広がる学びと生き方～（後編）
　　　　　　　　　　　　　大東市立四条小学校　　樋富真吾………52

連載　企業経営の基盤に人権の尊重を　第４回　
東京人権啓発企業連絡会の歩み　　　山岡尚哉………56

連載　「困りごと」を抱えた人びと―鳥取県調査から見えてくるもの　第7回
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　谷川雅彦………59
泰司と元樹の書きたいざんまい　第20回
―「特措法」が失効したから「同和地区」はなくなった？
　川口泰司………64

連載　ライター社納葉子の迷子人生マゴマゴ月報　第７回
―できることが減って、できることが増えたというパラドックス
　社納葉子………66

連載　走りながら考える　　　　　北口末広………70
―第263回　社会に多大な影響を与えるチャットGPT③
　　　　　
連載　本の道草　第112回　　　冠野 文………74
―漏らしたことのある仲間がいる　

連載　映画を通して考える「もう一つの世界」　映像のなかの在日（13）
中村一成………76

2023年度　第44回　人権・同和問題企業啓発講座（オンライン講座）【案内】……27
連載　４コマまんが　ガッツせんべい（182）ＡＩロボット
　　くぼ たかし……33
第54回部落解放・人権夏期講座（高野山夏期講座2023）【案内】……55

人権をめぐる動き……80