国連女性差別撤廃委員会に参加したアイヌ女性や在日コリアンの女性を「民族衣装のコスプレおばさん」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」等とブログに書き込んだ自民党・杉田水脈衆議院議員の行為を、大阪・札幌の法務局が「人権侵犯」と認定したが、本人は「人権の定義に法的根拠がない」「強制力のない任意の措置」などと反論し、自らを正当化している。こうした行為はネット上で蔓延し、削除依頼をしても放置され、書き込みに抗議するとバッシングを受けるなど、多くの被害者が泣き寝入りを余儀なくされている。自らが原告となる司法救済も二次被害と闘わねばならず、時間、お金の問題など救済には多くの課題を残している。なぜマイノリティや市民の人権がこれほどまでに軽視されているのか。当事者に被害と苦悩を押し付ける背景について、日本の人権の法制度やメディアの役割に視点をあてて考えたい。
ヘイトスピーチの「人権侵犯」認定から国内の制度を考える
櫻庭 総………2
被害当事者が訴えによって傷つく現在の制度
―ヘイトスピーチ根絶は行政の責任 多原良子………9
差別と闘ってきた10年間と新しい光 李 信恵………15
差別に立ちはだかり、立ち向かう報道へ―「客観中立」幻想を超えて
阿部 岳………20
言葉と写真で世界をみつめる
第36回 政府・与党・公人による差別の横行
―今こそ「人種差別撤廃条約」に基づいた法制度を
佐藤 慧………26
わたしの視点―メディアの現場から
第91回 なぜ黒い雨が「今の問題」なのか? 小山美砂………32
明日をかえる法人―新たな人権への取り組み
第73回 KARARINの「いまから~ここから~こころから」
松田直美………36
シリーズ マイノリティの声 第61回
「ひかり会」のこれまでと、これからと 山内英子………42
識字運動の担い手たちが語る
第40回 識字の仲間に鍛えられて―生活丸抱えの識字運動―〔前編〕
塩谷幸子さん(識字・よみかき教室「ほほえみ」)
編集:小原武次郎………46
貧困・子ども・人権 第50回
わが町にしなり子育てネット20年と大阪マラソン 松村若子………50
届け!声(25)
HIV感染予防のための抗HIV薬の予防内服「PrEP(プレップ)」について
岡本 学………56
連載 人権・共生のまちづくりへ―隣保館調査から見えてきた課題 第6回
谷川雅彦………60
泰司と元樹の書きたいざんまい 第28回 松村元樹………64
―差別の現実は「個人的な感覚や実感」で判断するものではありません(後編)
連載 ライター社納葉子の迷子人生マゴマゴ月報 第16回
―自分が生きやすい社会にするために声をあげる 社納葉子………66
連載 走りながら考える 北口末広………70
―第272回 社会に多大な影響を与えるチャットGPT⑪
連載 本の道草 第121回 冠野 文………74
―読み心地のいい小説
連載 映画を通して考える「もう一つの世界」映像のなかの在日(20)
中村一成………76
第49回 部落解放・人権西日本夏期講座〔案内〕……25
連載 4コマまんが ガッツせんべい(191)バス通りを歩く くぼたかし……31
人権をめぐる動き……80