本号は、第三研究部門「識字・成人基礎教育研究会」の特集である。
ひとつは、本研究会もかかわって、2021年度に実施した「全国識字学級実態調査」の概要である。
全国の200を超える識字学級を対象にして実施したアンケート調査の結果及び分析をまとめている。そのアンケート調査の結果などをふまえて、今年度からは、全国の30ほどの識字学級を対象にして訪問聞き取り調査を実施していっている。本特集では、そのうち、関係団体への訪問聞き取り調査の概要を掲載した。
もうひとつは、これまでの本研究会の特集等(205号、215号、220号)でも取り上げてきた、大阪府/韓国/アメリカの識字施策の動向に関する論稿である。これらの論稿をとおして、国内外の「識字」をめぐる今日的状況を知ることができる。
特集タイトルにも示しているとおり、本特集が「人権に根ざした識字学級をつくるため」の一助になればさいわいである。
その他、特集以外に、1本の投稿論文を掲載した。
特集 人権に根ざした識字学級をつくるために―国内外の識字をめぐる調査研究より
特集にあたって 森 実………………… 2
「全国識字学級実態調査」アンケート調査の結果(概要) 菅原智恵美……………… 8
「全国識字学級実態調査」関係団体訪問聞き取り調査レポート
小原武次郎・菅原智恵美・棚田洋平・森 実…………… 49
大阪府における識字・日本語学習の動向 上杉孝實……………… 82
韓国の成人文解能力調査 許 準(翻訳:肥後耕生)… …………… 94
成人識字教育における批判的教育学を理解するために
ソフィー・C・デゲナー(翻訳:園崎寿子)…………… 116
論文
地方部の自治体社会教育による日本語教室開設と展開
-鹿児島県伊佐市の事例を通して- 酒井佑輔…………… 152