本号の特集では、「人権施策の確立に向けた動き――各種実態調査の結果等にみる現状と課題」と題して、2024年度に実施した、「部落差別解消を目的とした自治体条例に関するアンケート調査」(第6研究部門「部落差別解消推進法の具体化に向けた先進事例の調査研究」)、「2024年インターネット上の部落差別投稿のモニタリング・削除依頼等の実施状況についてのアンケート調査」(第6研究部門「インターネット上の部落差別の解消のための調査研究」)及び、「府県隣協人材育成アンケート調査」(第5研究部門「包摂型社会のあり方調査研究会」)の結果について報告している。あわせて、2025年6月に策定された「人権教育・啓発に関する基本計画(第二次)」の要点と課題を整理した論稿も掲載した。それぞれの内容は、人権施策の確立に向けた今後の動きに資するものであり、読者の各々の立場で参考にしていただければさいわいである。
その他に、第2研究部門「マイノリティと女性研究会」の助成事業(第1期)の対象となった調査研究の成果報告と、前号に続いての部落史に関する投稿論文1本を掲載した。
次号(2026年3月刊行予定)は、今年度で終了する、第1研究部門「朝鮮衡平運動史研究会」の特集を予定している。
特集 人権施策の確立に向けた動き ――各種実態調査の結果等にみる現状と課題
ありうべき人権教育・啓発とは? ――「人権教育・啓発に関する基本計画(第二次)」の要点と課題――
内田博文・・・2
部落差別解消推進法の具体化に向けた自治体の動向 ――「部落差別解消を目的とした自治体条例に関するアンケート調査」の結果より――
棚田洋平・・・27
インターネット上の部落差別に対抗するために ――「2024年インターネット上の部落差別投稿のモニタリング・削除依頼等の実施状況についてのアンケート調査」結果の分析――
松村元樹・・・58
隣保事業に求められる人材育成とは? ――「府県隣協人材育成アンケート調査」の結果をふまえて――
福原宏幸・・・109
論文
「かわいい」家族をケアする論理 ――周辺的な女性の通信制高校を経由する成人期への移行――
大久保遥・・・131
泉州南王子村の戸数・人口変動と雪踏関連産業――居住地移転後その変動と展開――
藤野徳三・・・160