差別を撤廃し、人権を守ることが恒久平和を実現することに通じるという考え方を基本理念とした世界人権宣言が、1948年12月10、国連の第3回総会で採択されて今年で60周年を迎えます。
この間、多くの人びとの努力によって、国際人権規約や人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約や子どもの権利条約など、国連だけでも三十に及ぶ条約が採択されてきたことに象徴される前進が見られます。
日本においても、1946年、戦争放棄、主権在民、基本的人権の尊重、国際協調を基調とした新憲法が制定され、国際人権規約をはじめ12に及ぶ人権条約を締結するなど、前進がはかられてきています。
しかしながら、内外の人権状況を直視したとき、「赤信号」がともっているといわねばなりません。世界では多くの国が内戦状況にあり、貧困や飢餓に苦しむ人びとが少なくなく、人身売買が深刻化してきています。
日本でも、9年連続して自殺者が3万人を超えており、格差拡大社会がさらに拡がりをみせています。そして、部落差別や民族差別、女性や子ども、障害者や高齢者に対する差別や人権侵害が後を絶たない現状にあります。
「知られない権利は守られない。」という格言がありますが、この言葉は人権の確立にとってきわめて重要です。60周年の節目の年に、改めて一人でも多くの皆様に世界人権宣言の前文と30カ条の条文をお読みいただき、その内容が守られているかどうかを検証するとともに、その実現のために取り組んでいただくことを願うものです。
2008年4月
世界人権宣言大阪連絡会議