特 集
|
-要約-
「課題発見」「自立支援」「都市経営」の三つの機能を有すべき隣保館像を、歴史的には戦前のセツルメント、今日的には隣保館の現状、厚労省『「社会的援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」報告書』や世界的なソーシャル・インクル―ジョン等の思想から位置づける。その延長線で、行政責任と公的責任を区別した指定管理者制度の検討を指摘した。
|
大北規句雄 |
全隣協「あしたの隣保館」をつくる
─『あしたの隣保館検討委員会報告書』より → 全文PDF
-要約-
全国隣保館連絡協議会(以後、全隣協)では、二〇〇六年に「あしたの隣保館検討委員会」を全隣協関係者をはじめ隣保館行政に深く関わりのある各界から検討委員を招聘し設置した。差別撤廃と人権の確立に向けた日本の人権政策を創造していく隣保館像を求めて熱心な論議をするとともに、夢を語りその具体化のための数多くの提起をいただき、二〇〇七年五月に報告書を作成した。
この委員会の設置は、全隣協結成三六年で同和問題の解決をはじめ「福祉と人権のまちづくり」に向けた取り組みが一定の評価を受けている中で、隣保館の今後の方向性を示すことを目的とした。本稿ではその内容を紹介する。
|
伊藤勝彦 |
隣保館の公共性と指定管理者制度 → 全文PDF
-要約-
二〇〇二年四月以後、同和行政は明確な自治事務として位置づけられた。また、同和行政はコミュニティ政策として地域性、総合性、当事者性に立脚して推進されなければならない。隣保館は、その重要な拠点施設として再浮上してくる。「公の施設」としての隣保館は地域特性に立脚し、人的・組織的機能と併せて存在するインスティテュートであり、その公益的な使命を軽視した「指定管理者」制度適用はありえない。
|
中川幾郎 |
論 文
|
堺県の辛未戸籍と三昧聖
─明治四年五月の三昧聖仲間の嘆願書を中心に → 全文PDF
-要約-
堺県の人別改めをめぐって、泉州三昧聖仲間の上組と中組の嘆願書がある。嘆願の文言は両者ともほとんど同じであるが、上組の「乍恐泉州上組歎願書」は『大阪の部落史』第四巻に掲載されている。嘆願の内容は、「解放令」発布直前の三昧聖の身分に対する思いを記しているものだけに貴重なものといえるが、「明治四年五月」と日付を記しているものの宛先がないなど、問題の多い嘆願書である。幕末維新期の三昧聖研究の前進のため、その問題点と辛未戸籍での三昧聖の取り扱いを中心に考察し、嘆願書が信憑するに値するものであるかどうかを明らかにする。
|
北崎豊二 |
スコットランドにおけるコミュニティ・スクール → 全文PDF
-要約-
スコットランドのコミュニティ・スクールについて、ノースパースの統合コミュニティ・スクールを事例として紹介する。スコットランドはイングランドの隣の英語圏の国として国内政策を参照しあう歴史があり、スコットランドの新コミュニティ・スクールはイングランドの拡張学校の政策展開を触発したといわれる。しかし、コミュニティ・スクールの全国化に慎重な点など、イングランドとは異なる方向にむいている面もある。
|
ハヤシザキカズヒコ
レイチェル・ウィンター |
フリーター「選択」と自尊感情・職業意識
─「高校生の生活と進路意識調査」から(3・最終) → 全文PDF
-要約-
本稿は、二〇〇四~〇五年に行われた「高校生の生活と進路意識調査」から、高校卒業時における進路分化と、自尊感情・職業意識との関係を分析している。結果、「女子」「商業校」「進路多様校」生や、身のまわりに「不安定・ブルーカラー」層が多いと感じている層で、大人からの期待を感じていないなど自尊感情が低くなっており、心理的排除がフリーター析出要因のひとつとなっていることが示唆された。
|
内田龍史 |
資料紹介
|
松本治一郎記念会館旧蔵資料
─松本治一郎関係書簡・資料から(その九・最終) → 全文PDF |
本多和明 |
書 評
|
志水宏吉編著『高校を生きるニューカマー大阪府立高校にみる教育支援』 |
太田晴雄 |
池田賢市編著『法教育は何をめざすのか「規範教育」か「主権者教育」か』 |
中原朋生 |
畠博之著『ネパールの被抑圧集団の教育問題』 |
山本愛 |
布施哲也著『官製ワーキングプア自治体の非正規雇用と民間委託』 |
平尾和 |
寺木伸明・藤沢靖介監修『街道絵図に描かれた被差別民』 |
小野田一幸 |